第302話 レーアの元に

「お兄様、お帰りなさいませ。」

ドイツに帰った俺達が向かったのはレーアさんの家だった。

迎えてくれた、レーアさんは笑顔の中にも怒りが感じられた。

「レーア、ただいま・・・」

「もう外出は禁止ですからね。」

「いや、それはキツくない・・・」

「いいですね!」

「はい。」

アベルはレーアの迫力に負けていた。


「レーアさん、依頼通りアベルを連れてきましたよ。」

「ヒロキさん、この度はありがとうございます。ヒロキさんのお陰で兄が無事に帰ってくる事が出来ました。なんとお礼をしたらいいか・・・」

「お礼なんていりませんよ、レーアさんの笑顔が見えたそれだけで充分ですよ。」

「ヒロキさん・・・ありがとうございます。あ、あのこの後、お時間がありましたらお茶でも御一緒に・・・」

「ごちそうになりますよ。」


「ダイキ、どうする?」

「やっちまうか?」

「なんでだよ!」

「俺達はサービスなのにヒロキだけ報酬頂いてるんだぞ。」

「お前は友達の幸せを祈れないのか?」

「お前は俺の幸せを祈るか?」

「茶化すにきまってるだろ?」

「そういう事だ。」

「なるほど、真理だな。それでどうする?」

「まずは写真を撮ってヒロキの妹に送りつける。」

「あれ?ヒロキって妹いたの?」

「お前に会わせると落とされると言って知らせてなかったんだが、中学生になるアサミと言う子がいるんだ。」

「俺を何だと思っているんだ!これは罰が必要だな。」

「そうだろう。」

「でも、写真を送ったぐらいで何になるんだ?祝福されて終わりだろ?」

「それがなこの子は大層ブラコンでな、今までヒロキに彼女がいないのはこの子のせいでもあるんだ。」

「でも、レーアさんに被害が出るならちょっと考えるものはあるぞ、何せリナの友達だし。」

「大丈夫だ、兄妹が必要以上にイチャコラしてる姿を見せてくるだけだから。」

「それぐらいか?」

「何を言ってるんだ?思春期を迎えた妹が兄と一緒にベッドに入ってる写真や、週末デートしてる写真を送ってくるんだぞ。出来立ての彼女候補なら引くに決まってる。」

「・・・あれ?それぐらい?」

「お前が異常なのは知ってるから大丈夫だ。」

「俺の何処が異常なんだよ!」

「リナとベッドに入ったり・・・いや、リョウはそのままでいいからな。」

ダイキは冷や汗をかきながら前言を撤回していた。

「ダイキはお兄ちゃんに何を言ってるの?兄妹が仲がいいのはいい事なんだよ。」

「わ、わかったから背中に当ててる銃をしまって、なっ?」

「大丈夫、この弾はミノタウロスに効かなかったヤツだから。」

「大丈夫じゃないよ。それ炸裂するヤツだよね。」

「ダイキなら受けられる。」

「無理かな~」

「やればわかる。」

「やらなくてもわかるよ!リョウ助けてくれ!」

「リナ、いいから銃をしまってあげて。」

「お兄ちゃんが言うなら仕方ない、ダイキ、口が軽いと命に関わるよ。」

「よ、よくわかったよ。」

「兄妹が一緒にベッドに入るのは当然なの、妹はお兄ちゃんに甘える権利があるの。」

「リナ、やっぱりソロソロ別の布団で寝た方が・・・」

「やだ、別の布団で寝るなんて事になったら・・・ダイキが死ぬかも。」

「ダイキが死ぬかぁ~仕方ないか。」

「仕方なくないよ!俺の命を何だと思ってるの!」

「だって、ダイキのせいだよ。責任をとるべき。」

「・・・リョウ、兄妹は同じ布団で寝る方が健康にいいんだ、頼む、俺を助けると思って!」

「お前、ホントにリナに弱いよな?」

「銃を背中につけられて見ろよ、弱くもなるぞ。」

「リナは銃を突き付けたりしないからな。」

「お前にはな!」

その後もダイキをからかっていたが、その日の晩は結局リナと寝る事になった。

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