第301話 お外に出る。

「これは・・・」

アベルは脱出の際に作業員の数に驚いていた。

あまりに多くの人が黙々と作業を行い、罠だらけの遺跡を解体しているようだった。


「全員、目的は果たせたよ。撤収しよう。」

「はっ!」

俺の号令のもと、片付けを始めだした。

「アベルさんも早く外に行きましょう。一応免疫強化の為にワクチンを射っておきましょう。」

「君は一体なんなんだい?このグループの代表みたいだが?」

「桐谷リョウです。ヒロキの頼みで来ただけなんだけど、皆さんが助けてくれてこうなりました。」

「いや、説明になってないよね。」

「だって、俺の立場って何?」

「リョウさまは、侍のトップたる源家の婿にして、忍の総領の百地の主!世界最強の剣士、鬼神アキラの後継者!」

「カエデ待った!誰だそれ!」

「リョウ様の事ですが?」

「・・・いや、まだ婿じゃないし。」

「既に婿扱いですので問題ないですよ。」

「そうだぞ、リョウ。それに古代言語のエキスパートでもある。俺よりトレジャーハンター向きなんだが・・・」

「あんまり、興味がないんだよねぇ~」

「また、貸しを作って働かしてやるからな。」

「しばらくは無いよね?」

「いつでも、頼ってくれよ~♪」

「今回ので懲りたよ、暫くは遺跡に来たくない。」

「はぁ、せっかく貯めてたのになぁ」

ヒロキの愚痴を聞きながら外に出る。

「若!御勤め御苦労様です。」

甲冑姿の侍が列をなし迎えてくれる。

「ありがと、お陰で目的を果たす事が出来たよ。」

「勿体無き御言葉!」


「リョウくんお帰りケガしてない?」

「リョウお帰り♪」

「ミウ、アズサただいま。無事に帰って来れたよ。ミウ、じいちゃん呼んでくれてありがと。お陰で助かったよ。」

「ううん、リョウくんが無事ならそれでいいの。」

「アズサもありがと。これだけの支援してくれたお陰で救出が間にあったよ。」

「リョウの為ならこれぐらい、いつでもしますよ。」

「いつもはいいかなぁ~さあ、後はアベルさんを連れて行くレーアさんの所に向かいますか。」

「レーア?」

「ミウとアズサは知らないか。リナの友達なんだ。今回はその頼みでお兄さんの救出に来たんだ。」

「また、新しい女の子・・・」

「いやいや、俺はあまり関係無いよ!どっちかと言うとヒロキかなぁ~」

「ヒロキくん?」

「俺に借りを作ってまでの救出劇だからね。ヒロキの気持ちはどうなんだろ?」

「お兄ちゃん、レーアはいい子だよ。」

「そうだね、どっちかと言うとヒロキの方が悪い子だからね、さて、どうなるかな~」

俺はニヤニヤしながら、アベルを案内するヒロキを眺めていた。

「ちょっとリョウくん、悪趣味だよ。」

「ダイキと違って、ヒロキに女っ気ができるの珍しくて。」

「そうなの?」

「いつも遺跡の事ばかりだったからね、こんな依頼を受けること事態不思議なんだよ、しかも、そのまま出てきたし。いつもなら1人でも調べに行く奴がだよ、これは何かあると期待しちゃうじゃん♪」

「そうなんだ。」

「さあ、ドイツに行くぞ~!」

「早く行きたいのはわかりましたけど。きょうはここで休んで行きましょう。救出した方達の治療もありますし、何よりリョウも疲れてるでしょ?」

「うん、疲れてはいるけど・・・まあ、いいか。今日はのんびりして明日ドイツに向かおう。」

俺達はクレタ島に作られた砦に1泊して、翌日ドイツに向かった。

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