第267話 撮影再開

翌日、朝から温泉街をめぐる。

「おはよ、ミウ。」

「おはようリョウくん、リナちゃん。さあ温泉街を巡りましょう。」

「おはよう、ミウ。」

「ミウ、テンション高いね。」

「昨日は気持ちよく回れなかったから、今日は楽しみです。」

俺達三人は店を回るとお土産をみたり、試食さしてもらったりと積極的にお店の人と関わっていく。

「ミウさん、お店に来た記念にサインもらえないかね?」

ミウはお土産屋のおばちゃんに言われて快くサインをする。

リナはご当地アイテムを見てはしゃいでた。

「お兄ちゃん。見て可愛いよ。」

「仕方ないな、すいませんこれもらえますか?」

俺はリナに買ってあげる。

「お兄ちゃんいいの?」

「いいよ。」

「やった、お兄ちゃん大好き♪」

「リナちゃんだけいいなぁ~」

「ミウも欲しかったの?」

「リョウくんに買ってもらうのが羨ましいの。」

「仕方ないな。」

俺はリナと別のデザインのご当地アイテムを渡す。

「リョウくん、ありがとう♪」

それからも温泉街を回り、宿に戻り大浴場を撮影する。

ミウとリナは終始笑顔で楽しそうな画が撮れていた。

撮影のしめに・・・

俺はミウとリナを離れた駐車場に案内しながら、

「さて、ミウ、撮影もほとんど終わったよね。」

「うん、残念だけどもう終わりだよね。」

「でも、やってないことがあると思うんだ。」

「やってないこと?」

「うん、それはね。」

「歌ってない!」

「えっ?」

「だから、ステージを用意しました!」

駐車場に出来た仮設ステージを見せる。

「いつの間に。」

「リョウ、準備出来てるよ。」

「アズサありがと。」

「アズサさんまで!」

「リョウくんに頼まれまして。急ぎセットしました。」

「さあ、ミウ歌おうか。」

「いいけど、なんで隠してたの?」

「驚く顔を撮りたくて。」

「驚いたよ、それよりなんでリョウくんが驚かす側にいるの?」

「なりゆき?」

「また、変な事になってる~」

「リョウくん、他に変な事してない?」

「変な事はしてないよ・・・」

「リョウ来たよ♪」

ヒトミがやってきた。

「あれ?ヒトミなんでここに?」

「リョウが番組やれっていうから見に来たんだよ。」

「リョウくん、なんでヒトミさんに声をかけてるかな?」

「ヒトミなら知名度でヨシトに負けないだろ?」

「それはわかるけど、ヒトミさんが引き受ける仕事でもないからね。」

「リョウの頼みだし、引き受けたよ。」

「ヒトミさんは忙しいですもんね、他のひとにしたほうが・・・」

「ミウさん、私はリョウの為に引き受けたの、スケジュールは調整するわ。」

「うーーー!変な事になってる!」

「それより今日来なくてもよかったのに。」

「来たらダメだった?」

「いや?来た以上こき使うけどいいんだよな?」

「はーい、サービスで働きますよ。」

「なら、次からの案内人だし、司会頼むよ。」

「引き受けるけど、プロデューサー通してあげたほうがいいんじゃないかな?」

「あっ!?」

「リョウの悪いクセだよ、突っ走りすぎ。」

「いけねぇ、山本さーん、ヒトミが来たんで司会やらしていいですか?」

「えっ?ヒトミがきた?ってホントにいる!」

「はじめまして、プロデューサーの山本さんですか?リョウの暴走に付き合わせてごめんなさい。」

「い、いや、リョウくんには助けられているよ。でも、リョウくんの電話1本で来るなんて二人はどんな関係?」

「恋人です♡」

「元をつけなさい、高校生の頃付き合っていたんです。」

「私は別れたつもりはないんだからね。」

「へいへい、それより撮影進めよう。歌ってしめるよ~」

「ちょっと、山本さんと少し話す事もあるのよ?」

「細かい事は後でやろう。それより早くやって終わらさないと人が集まりすぎるかも。」

周囲を見ると特設ステージにそれなりの人が見物に来ていた。

「ミウにヒトミも来てるからね、混乱になる前に終わらしちゃおう。」

「わかったわ、じゃあ、細かい事は無しでいいから始めるわ。」

「いいんですか?ヒトミさん、ギャラとかの話しも・・・」

「ここに出てた人ぐらいでいいわ。私はリョウが処分した人の穴埋めなんでしょ?山本さんに無理はさせないから安心して。」

「ありがとうございます。」

「今後も番組でやっていくんだから仲良くしましょうね。」

「おーい、ヒトミ始めるぞ!」

「待ちなさいリョウ!」

「むーなんかヒトミさんとリョウくん仲良くない?」

「お兄ちゃんに遠慮がない、あの人危険。」

「リナちゃん?」

「お兄ちゃんは渡さない!」

リナは俺に抱きついてくる。

「リナどうした?」

「お兄ちゃん、ぎゅーして。」

「よくわからないけど、いいよ。」

俺はリナを抱き締める。

「リョウ、また新しい女の子捕まえたの?」

「人聞きの悪い事を言うなよ。それにリナは妹だよ。」

「妹?リョウに妹なんていないよね?」

「ドイツに預けられてる子がいるんだよ。ほら、何て言うか・・・そう家庭の事情ってやつ?」

「家庭の事情って?」

「・・・」

俺は目をそらす。

「そういえば、誤魔化せると思ってない?」

「オモッテナイヨー」

「はぁ、まあいいわ。それより始めましょうか?」

「おう!ミウ歌うぞ~ほらリナも離れてね。」

俺はステージに向かった。





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