第255話 ダイキの修羅場であそべ・・・ない。
「ダイキさんをいじめないでください!」
タマがミキの前に立ちはだかる。
「ねぇ、タマちゃん、あなたはまだ若いのだから別の人を探した方がいいよ。」
「私の運命の人はダイキさんだけです。」
「運命の人って・・・もっと考えた方がいいよ、こいつ浮気はするし、暴力的だし。」
「それでも、いいんです。ダイキさんはいい人ですよ、ダイキさんの良さがわからない人が彼女なんてありえません!」
「ダイキ・・・この子に何したの?洗脳?薬?正直に言いなさい!」
「な、なにもしてないよ、ただ襲われているところを助けただけ。」
「なにリョウみたいな事をしてるの!」
「異議あり!」
「リョウは黙ってて!」
「あい。」
「よしよし、お兄ちゃんは悪くないよ。」
「リナ~」
「お兄ちゃん!」
俺とリナは抱き締め合う。
「ハイハイ、離れて。」
「むー、ミウは横暴だよ。」
「リナちゃんはもっとおしとやかにならないと。」
ミウとリナが言い合ってる中、
「ダイキ、どうなの?」
「ダイキさん!」
二人に迫られていた。
「リョウなんとかしてくれ!」
「えーどうしようかなぁ~」
「お前が引き起こしたんだろ!」
「ナンパする奴が悪い、集中してる俺の邪魔までしやがって。」
「まだ、怒ってたのか!いい加減許せよ!」
「緊急事態だったから横に置いただけ、俺は忘れたりしない!」
「仕方ない、この手は使いたくなかったが・・・」
「なに?」
ダイキは2枚の紙を出す。
「チケット?」
俺はそのチケットを見る・・・
「おおお・・・」
それは日本代表対ドイツ代表の親善試合のチケットだった。
「これは・・・」
「ふふん、お前との交渉用に用意してたのさ。」
「さては、前回の協力の時に!」
「お前が渋ったら出す予定だったのさ、まあ、すんなり受けてくれたからチケットは必要なかったが、ほれ、どうだ?欲しいだろ?」
「・・・欲しいです。」
「だろうな~俺はそれほど興味ないからな、お前の態度次第ではくれてやってもいいぞ。」
「クッ!」
「さあ、どうする?」
「わかった、協力しよう。」
「なんだって?」
「・・・協力さしてください。」
「よし、それなら事態を静めないか!」
「クソッ!」
俺は言い争うタマとミキに近寄る。
「あー二人ともちょっと落ち着いてもらえるかな?」
「なに?リョウ?アンタも浮気者の味方?」
「リョウさん、私を応援してください。」
「あー、二人の気持ちはわかるけど、取りあえず落ち着いて、ミキもタマちゃんが結婚出来るようになるまで時間があるだろ?今、揉めなくてもいいんじゃないか?それまでにダイキを落とせよ。」
「クッ!でも、あの浮気者、すぐナンパしてくるんだよ!少しは釘をささないと!」
「・・・直に刺せばいいのに!」
「なんだって、リョウ?」
ダイキは後ろでボソッと言ってくる。
「まあ、ダイキがナンパ者なのは認めるけど出来ないぐらい束縛すればいいんだよ。」
「おい!」
「でも、私は東京にすんでないし。」
「もう、東京に来たらいいんじゃないかな?」
「えっ!でも、仕事とか探さないと・・・」
「源グループが雇ってくれるよう手配するから。」
「いいの?」
「うん、なんとかする。」
「じゃあ・・・」
「マテマテ!リョウ、お前は何を!」
「ダイキ、俺が引き受けたのはこの場を静めるだけだ、後の事はお前が決めるんだな。」
「ウッ!」
「リョウさん、ミキさんの味方なんですか?」
「タマちゃん、俺は中立だよ。」
「でも・・・」
「タマちゃんに足りないのは年齢だけど、これは今すぐどうにか出来ないよね、でも、大きくなる前にダイキをタマちゃんしか見えなくしてしまえばいいんだよ。」
「でも!」
「だから、タマちゃんも東京に住めるように交渉してあげる。婚約者の立場は得たんだろ?そこからは本人同士の意思だ、お互いわかりあっていけばいいんだよ。」
「はい!ダイキさんをメロメロにしてしまいます。」
「その意気だよ、でも、争ってる姿をダイキに見せないようにね。争ってる姿は誰も見たくないだろうからね。」
「・・・はい。」
タマちゃんは項垂れながらもわかってくれた。
「リョウどうするんだよ!二人とも東京に住んだら俺の自由が!」
「お前の自由なんて知らないよ、俺はこの場を静めた。報酬くれ。」
「・・・クソッ!持ってけ!」
「まいど~」
「今後の修羅場も手を貸してくれるよな?」
「さぁねぇ~修羅場を楽しめば?」
「他人事だと思いやがって!」
「他人事だし。」
俺がダイキを笑っていると・・・
「ねぇ、リョウくん?誰と見にいくのかな?」
俺の裾を引っ張りながら、ミウが聞いてきた。
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