第210話 演奏会終了
「ふぇー疲れたぁ~」
「リョウくん、本番強いよね。あんなに出る前はテンション低かったのに。」
「まあ、戦場に立ったら気合いは入れないとね~」
「今は抜けてますね。」
「モチロン、もう終わったし。」
アズちゃんと会話していたら、
アキラくんが興奮しながらやってきた。
「先生!素晴らしい演奏でした!」
「ありがと。」
「ボクがどれだけ未熟かわかりました。」
「そんなことないと思うよ、俺なんて真面目に打ち込めてない半端ものだから、アキラくんがこれから一生懸命に取り組めば俺なんてすぐに抜けるさ。」
「そんなことありません!先生の演奏は他の誰かと比べられるものじゃない、唯一無二の演奏です。」
「・・・アズちゃん、真っ直ぐ褒められるとなんかむず痒い。」
「真面目に受けてあげてよ。見て真っ直ぐな眼をしてるよ。」
「ま、まぶしい!俺にはない輝きだ!」
「からかわない、ほら先生♪」
「アズちゃんこそからかわないでよ、えー、なんだ、アキラくんにはアキラくんの曲があるから、誰かのじゃなく自分の曲を作っていったらいいよ。」
「はい!先生!」
「どう、それっぽかった?」
「最後がなければね。でも、やっと演奏会終わったね。」
「うん、慣れないことはするもんじゃないね。しばらくはしたくないなぁ~」
「先生!そんなこと言わないでください!」
「あら、アキラくんに聞かれた。」
「先生の曲を聴きたい人はたくさんいます。その人に聴く機会をくださりませんか?」
「あはは・・・アズちゃんどうしよ?」
「先生はどうするの?」
「アズちゃんイジワルだよ、うーん、アキラくん、俺はね作曲しなきゃいけないんだ、今でも三曲作る予定があるんだ。」
「さすが先生です!作曲は先生しか出来ませんから、差し出がましい事を言って申し訳ありません。」
「どうしよ、罪悪感に負けそう。」
「リョウくん本音は?」
「他にしたいこともあるし、やらなきゃいけない事も抱えてるからピアノは一時後回しかなぁ~~~あっ!」
「先生!」
「アズちゃん!ばれちゃったよ!」
「ゴメンね、ちゃんとまとめるから、アキラくん、リョウくんは多才過ぎるの1つの事だけに掛かりきりになれないし、そうじゃないからいい曲も生まれてくるんだと思うよ。だから、自由に活動させてあげるのが一番の近道かな?」
「そうなんですか・・・でも、勿体ない、専念したらきっと名曲が生まれるのに・・・」
「そうね、思い付いているのに書き留めないから失う曲が多いみたいよ。」
「アズちゃーん!何で言っちゃうの!」
「私の曲を書き留めなかった罪は重いのよ、リョウくん。」
「・・・先生。」
「あい。」
「先生は曲についてどうお考えですか?」
「え、えーと、頭の中でふと閃いて、その時の自分をノリノリにしてくれるもの?」
「先生はそれを残そうとは?」
「まったくしてません。どうせまた別の曲を閃くし。」
「まさかとは思いますが、その中に今回の曲より、よくできた曲なんてありませんよね・・・?」
「・・・たくさん?」
「あったんですか!」
「どうなのかな?俺はいいと思うけど他の人が聴いたらたいしたことないかもよ、」
「先生は人類の宝を捨てるのをやめてください!」
「それキサクさんにも言われた。」
「音楽に関わる人間ならみんな思いますよ!」
「俺は考えた事もなかった。」
「才能が有りすぎてるからです。その価値に気付いてないだけなんです。その才能を世界に見せてください。」
「・・・前向きに善処する計画をたてる予定です。」
「行ってください。」
「だって、思い付く時に書ける状況じゃなかったりするしね。仕方ないんだよ。うん。」
「なら、ボクが先生の側で書き写しますから先生は思い付いたら口ずさんでください。」
「アキラくん、君は小学生だろ?俺は東京に住んでるから側にいるのは無理だよ、気持ちだけ受け取っておくよ。」
「東京に引っ越します!学校も最低限でいいんです。ボクは音楽に全てを捧げたいんです。」
「その話は両親を連れてきてからだね。俺は源の東京屋敷にいるから、話があるなら両親を連れて訪ねてきて。」
俺は両親なら止めるだろと簡単に考えていた。
「さて、じゃあ、俺達は帰るよ、行こアズちゃん。」
俺はアキラくんを置いて名古屋の源屋敷に帰る事にした。
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