第199話 映画館
「それでリナ何の映画見るの?」
「ついてのお楽しみ~」
「なんだろ?ドイツで上映してないの?」
「日本映画だよ。せっかく日本に来たんだから絶対見たくて。」
「へぇー、ワザワザ見たいなんて珍しいね。でも、なんだろ?」
「うん、ひみつ♪」
「リョウ、強く生きろよ。」
「なんだよ、ダイキ。不吉な事を言うなよ。」
「いや、俺も同意する。頑張れよ」
ダイキとヒロキは哀れみの目を向けていた。
「なに!何があるの!」
「ダイキ!言っちゃダメ!もし言ったら・・・」
「言わないって!今日は楽しんでこいよ。」
「うん♪それでいいんだよ。」
「何か気になるなぁ~」
「そんな事より、飯だ飯だ。リョウもなるようになるから心配するなよ。」
ダイキの態度が腑に落ちないが朝食の美味しさにすっかり忘れていた。
そして、映画館の前に来た・・・
タイトルは『関ヶ原』
俺が出た奴だ・・・
「オウチカエル・・・」
俺は家に帰ろうとする。
「お兄ちゃんダメ!一緒に見るの!」
リナが腕を絡めて逃がしてくれない。
「そうだよ、リョウくん一緒に見よ。」
「アズちゃんは現地で見たでしょ!さあ!」
「お姉ちゃん、現場にいたの?」
「そうだよ、実際の鎧姿はかっこよかったよ。」
「いいなぁ~」
「リナちゃん写真もとってるから家に帰ったら見る?」
「うん♪みる!」
「みないで!」
「リョウ兄、映画に出たのに何を恥ずかしがってるの?」
「欲に溺れた自分が恨めしい・・・」
「ホントに何があったの?」
「リョウくん、ノリノリで撮影してたのに。」
「あらためてみたくないの!」
「まあまあ、ここで騒いだら迷惑だよ。」
アズサに連れられ中に、
客席の最前列に座った。
「リョウ兄、出演者なら舞台挨拶しなくていいの?」
「チョイ役だからね。それより絶対笑うなよ!」
「わかってるよ、笑わないから。」
「お兄ちゃんと映画♪」
リナが上機嫌で俺と腕を組み映画を楽しみにしてた。
俺はあきらめて映画を楽しむ事にする。
そして、舞台挨拶がはじまる。
一人ずつ入場してきて拍手をもらっていた。
「そういえば、俺、ケンさんしか知らない。」
「えっ?」
「そもそも、主役だれ?」
「リョウ兄、石田三成が主役だよ、たしか、あそこにいる中村ケンタがやってたはずだよ。」
「だれ?」
「リョウ兄、自分が出てるんだから、少しは調べてないの?」
「出たことすら忘れてた。」
「もう、リョウ兄。」
「ミズホ、お兄ちゃんをいじめないで、興味がないだけなんだよ。」
「それはわかるけど。」
「リナは優しいな~」
俺は頭を撫でてあげる。
「もっと~」
すると舞台から声が聞こえてくる。
「リョウくん!何してるの!」
舞台にはミウがいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます