第138話 茶会の後
「お粗末さまです。」
「いや、見事な手前だったよ、ソウエンくんが連れてくる筈だ。」
「ありがとうございます、キミツグさん。しかし、自分はまだまだです。ソウエンさんのような優雅な手前は出来ませんね。」
「いや、君には君の良さがあるよ、それを伸ばしたらいいと思う。」
俺とキミツグさんは談笑していた。
その後、茶会は無事に終わり、ソウエンさんと話していた。、
「リョウくん、君は本番に強いね。練習の時と全然違ってすごく良かったよ。」
「ソウエンさん、ありがとうございます。でも、今日は見るだけでしたよね?」
「予定は変わるものだよ、それに場をおさめるのにもちょうど良かったしね。」
そういわれて思い出したがいつの間にか、和田親子の姿はなかった。
「そういえば、騒いでいた二人は?」
「途中で逃げるように出ていったよ。リョウくんの殺気もなかなかすごいね。」
「俺はまだまだですよ、爺さんみたいにコントロール出来なくて、ほとんどの垂れ流しですから。」
「僕にはわからない世界だけど、リョウくんには芸術の世界にきてほしいかな。」
「うーん、茶道は嫌いじゃないんですけど、華道とか香道、和歌なんかは無理ですよ~」
「テルさんはその辺りも?」
「学ばそうとしてましたが逃げました。」
「テルさんから逃げたのかい?」
「ええ、その後大変でしたが・・・」
「怒らしちゃダメな人だからね。」
「はい、身に染みてわかってます・・・」
すると、俺の服の裾が引っ張られる、
振り向くと顔を立てると赤くしたサエちゃんがいた。
「サエちゃん、どうしたの?」
「さっきはありがとうございます。私を庇ってくれたんですよね。」
「まあ、女の子か泣く姿は見たくないからね。」
「ホントにありがとうございます。」
「気にしなくていいよ、あっ!それよりソウエンさん、さっきの発言はなんですか!」
「発言?」
「サエちゃんの相手が俺って話ですよ!」
「いやかい?」
「いやと言うより、サエちゃんはまだ子供ですよ、選択肢を奪うような事は止めてあげてください。」
「くくく、ボクはサエが嫌がる事はしてないよ。なあ?」
「はい、嫌じゃないです・・・」
「ほら、それにだリョウくんと言う相手がいると噂があったほうが今回のような事からサエを守れるから、出来たらそのままにしておいてくらないか?」
「まあ、あんな奴がいますからね・・・わかりました。どうせ俺は京都に長くはいませんし、名前を好きに使ってください。」
「助かるよ、サエもいいね。」
「はい♡」
「サエちゃん、好きな人が出来たらいつでも破棄してくれていいからね。」
「そんな人出来ません!」
「まあまあ、そうだ、せっかく京都に来たんだから明日は観光でもしたらどうだい?行きたい所とかはないのかな?」
「二条城に行きたいです!」
「はっきり言ったね。」
「こっそり抜け出してでも行くつもりでした。」
「よし、サエ、リョウくんを案内してあげなさい。」
「はい、お父様。」
「サエちゃんいいの?観光地なんて地元の人にとっては退屈じゃない?」
「はい、いいですよ。リョウさま、観光地は誰と行くかで変わるものですよ。明日は二人で楽しみましょうね♡」
「まあ、サエちゃんがいいなら頼むよ、何せ土地勘がまったくないからね。」
「他にも行きたい所があったら行ってくださいね。」
「あと、清水寺とか金閣寺とか♪」
「ふふ、なんかリョウさまが子供みたいですね。」
「いいだろ~行って見たかったんだから。」
「でも、その辺って修学旅行とかで来てません?」
「い、いやプランにはあったんだけど・・・」
「ん?どうしたですか?」
「前日、東大寺でちょっとだけハメをはずしちゃって、謹慎させられたりしてた。」
「謹慎って何をしたんですか!」
「いや、たいした事じゃないんだよ。うん。」
「教えてくださいね。」
サエちゃんがジト目を向けてくる。
「まあ、ちょっと鹿を使って旅行資金を稼いだだけなんだ。」
「えっ?」
「奈良公園の鹿達ノリがよくってさ、観光客相手に写真撮影会や鹿の騎乗体験、あと鹿達に一列に並んでもらってウェーブとかかな?意外とお捻りくれるもんなんだよ。」
「なにやってるんですか!」
「当時中学生でさ、お小遣い少なかったから・・・」
「普通しませんよね?」
「ま、まあ、若かったから・・・」
「今の私より歳上ですよね。」
冷たい目が俺を刺す。
「いや、見ないで!つい魔がさしただけなんです。」
「はぁ、でも、そうなると初めて行く事になるんですね。」
「うん、だから楽しみにしてるよ。」
「はい、二人で楽しみましょうね♪」
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