第122話 記者会見 1

記者会見

アズサが一人で挨拶を行っていた。

「今日は忙しい中、集まっていただき感謝いたします。私は源グループ、次期当主、源アズサともうします。本日は警察に冤罪をかけられている私の想い人、桐谷リョウについてお話いたします。

皆さんも知っての通り、リョウくんは冤罪から警察に拷問にかけられ、急性硬膜下血腫になり、手術を行いました。今の彼は絶対安静の身であることをまずお知らせいたします。

彼の容態は本人、医師の了承の元、診断書を公開いたします。」

記者に診断書が配られる。

「この重体患者を事もあろうに警察は機動隊を使い、連れ去ろうといたしました!ただでさえ冤罪で捕まえて重体にしておきながら、そんな彼をもう一度連れ去ろうとは、もう殺す事を視野に入れているとしか考えられません、しかも、令状も所持しておられませんでした。いかに警察とはいえこんな無法が通す事は出来ません!」

アズサの気迫に記者は圧倒される。

「もし、警察がそれでもリョウくんの命を狙うと言うなら、私は警察に敵対します。」

会場がザワメク、

「えーそれはたとえ違法でも警察に従わないとの事ですか?」

「はい、まあ誰が違法か決めるのですかと言う話にもなりますけど。私はリョウくんを渡さない為にはどんな事もいたします。それがたとえどんな違法だとしてもです。」

「それは法治国家として許されないのでは?大企業の後継者としてはいささか軽率では?」

「法を守る警察が機能していないのですから、仕方ないでしょう。そして、既に名古屋近隣は警察の手を離れていますが何か不都合がありましたか?」

「えっ?」

「警察はリョウくんを捕まえる為に総動員をかけたようで近隣は警察の空白地となりましたが源に関わる者が自警団を作り治安維持に出向いております。」

「それは一時的なものです!」

「恒久的に致しましょうか?私の望みは警察の健全化、警察の違法を認め、関係者の正当な処分、そして、私達の行動を正当なものと認める事です。」

「警察は認めないよなぁ~」

記者から声が漏れる。

「そうですね、普通は認めないと思いますが、私達も引けない所に来ているのです。引いたら、私の大事な人が殺されてしまいます。もしそんなことになったら私は警察を、そして、国家を許す事はないでしょう。」

「それは脅迫ではないですか!」

「そう取りたいならとってください、たとえどんな手を使っても守りきります。」

「あーじゃあ警察が適当に人を出して処分したらどうするのですか?」

「既に誰の命令で行われて、誰が従い、誰が従わなかったのか、充分な証拠を入手しております。」

「それはどうやって?」

「世の中には非合法な道もあるのです。そして、この情報は近々開示されます。」

そこにアズサの元に連絡がくる。

「皆さん、今、警視庁のサイトで過去の冤罪、事件事故の隠蔽、資金の不正資料等が開示されているようです。時間を取りますので社の方に確認してください。」

大騒ぎになっている記者を置いて部屋を一時出る。

「リョウくん、さっきの情報なに!ダイキくんから貰ったデータの開示じゃなかったの?」

「あーカズヒコがやってくれたみたい。さっきメールが来てた。」

「ねえ、リョウくんの友達って・・・」

「いい奴だろ?ちょっと、取っつきにくい所はあるけど友達思いの奴だよ。」

「ねえ、普通の友人はいるのかな?」

「ダイキもカズヒコも普通の奴だぞ?」

「あーリョウくんからしたらそうなのかな?」

「さあ、援護も貰ったし、ソロソロ俺達も行くか!」

俺とアズサ、そして、ミウの三人で記者会見に挑む。

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