第76話 アズサ待ち受ける

「なんだ、これは?」

そこには広島のスタジアムであった事が載せられていた。

「あちゃ~、これまた。1面飾っちゃってるよ。」

「むう、リョウくんは女誑しじゃないもん。これはヒトミさんが悪いんだもん。」

新聞を読みながら家に帰っていると・・・


アズちゃんに会った。

「あれ?アズちゃん奇遇だね?」

「リョウくん、この記事は何かな?」

「偶然スタジアムで、ヒトミに会っちゃってね。こんな騒ぎになったよ。」

「そうじゃないの、なんで広島にミウさんと二人で旅行してるか聞いてるの。」

「そっち?」

「アズサさん、私はリョウくんの婚約者ですよ。どこに行くのも一緒なんですよ。」

「ミウさん、リョウくんが誰を選ぶかは自由だけど・・・リョウくん、私も旅行に行きたいな♪」

「ん?この前名古屋に行ったような・・・」

「それはそれ、私なら新聞をにぎわす事なく旅行を楽しめるよ。そうだ今度は東北に行かない?仙台とかほら青葉城だよ。」

「うーん、それは少し魅力的かも・・・」

「リョウくん、惑わされないで!行きたいなら私と行こうね?」

「ちょっとミウさん邪魔しないでくれます?リョウくんが誰と何処に行くかは自由でしょ?それとも束縛するつもりなの?」

「束縛なんてしないけど、私もリョウくんとアッチコッチ行きたいの。」

「それならリョウくんが行きたい場所を示したらいいじゃない、リョウくんを楽しませるのは隣に立つ女の条件でしょ。」

「うっ!それはそうなんだけど・・・」

「私ならリョウくんが喜びそうな旅行プランを出しますわ♪」

「・・・ダイキくんでしょ、情報元はダイキくんね!」

「な、なんのことやら・・・」

「アズサさんはリョウくんと接点少なかったんだからリョウくんの行きたい所はわからないはずなのに、知ってるということは誰かが教えてるということだよね。」

「ええ、そうです。リョウくんの親友は私の味方ですよ。」

「甘いよアズサさん、彼はきっと裏切るよ。」

「それまで使えればいいんです。それに今のところ有力な情報が多いですし。」

「な、なにを聞いたの?」

「ふふん、ねぇリョウくん。今日ね、アップルパイ作ってきたの食べてもらえるかな?」

「なに?アップルパイ、喜んでいただくよ。」

リョウの目は輝いていた。

「あーーー!何で知ってるの?」

「ダイキくんがリョウくんの好物を教えてくれました。店売りじゃなくて手作りのアップルパイが好きなんですよね。」

「それは私が昔からここぞという時の為に・・・」

「これからは私がいるからね、リョウくんに食べさせてあげる。」

「むむむ、ダイキくんに文句言わなきゃ!」

「アズちゃんこれ美味しいね♪リンゴタップリで俺好みの味付けになってる。」

リョウは二人の争いを気にせず、食べ出していた。

「リョウくん、立ち食いは行儀悪いですよ。お家に帰って食べましょ。」

「あいよ。じゃあさっさと帰ろう。」

俺とアズちゃんは歩きだす。


「待って!アズサさん?もしかしてリョウくんのお家に行くつもり?」

「はい♪いいですよねリョウくん。」

「美味しいものもらったしな。大した所じゃないけど、来たいならおいで。」

「ありがとうございます。ご一緒さしてもらいますね♪」

「わ、私とリョウくんのお家なのに~」

「ミウさん、一人占めはダメですよ。」

「にゃあーーー!」

ミウの嘆きが響き渡った。




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