見えないもの
第11話
ワーム。既に夜斗は10を超える数を討滅してきた
卯月こと美緒と再会してから、約2ヶ月
紗奈と来夏の小説を添削しつつ、夜刀神を振るって尽くを討ち滅ぼす生活にも慣れ、夜斗は仰向けになり天蓋を眺めていた
(なんで俺、美緒のとこで寝てんだろう)
昨日の記憶がない
というのも、途中までの記憶が正しければ霊斗に誘われて飲みに行っていたのだが、飲み屋で急激な眠気に襲われて寝てしまった
その後の記憶がなく、今目が覚めたのだ
(美緒は…寝てるな。こいつ女の子の中では身長高いなぁ)
夜斗の身長は182cm。前世と一分の違いもない
対する美緒は、前世から20cmほど伸びて170cmほど
よく聞く恋人として適した身長、というアレだ
(というか妙に寒いような…。いや2月だからこんなものか…?)
夜斗は布団から降りるなり、声を出さないように悲鳴を上げた
服を着ていない。というかよく見たらベッドの目の前にハンガーで掛けられている
(なんで気づかなかったんだ俺!?というかこの状態…まさか一線を超えたのか!?)
恐る恐るベッドにかけられた布団を捲る
美緒は、全く服を着ていない
またしても声にならない悲鳴をあげる夜斗
美緒があくびと共に体を起こし、夜斗を見るなり妖しくニヤッと笑った
「昨日はお楽しみだったね、夜斗」
「俺は何をしたんだァァァァ!」
夜斗の絶叫に飛び起きた来夏が部屋に突撃するのと、美緒が服を着ていないまま夜斗に飛びついて押し倒すのはほぼ同時だった
正座する夜斗と美緒
眼の前には仁王立ちする来夏が、笑みを浮かべていた
((目が笑ってない…!))
「あのですね、お二方。たしかにここは桜坂家の自宅ですが、それでも最低限の節度が必要です。付き合い始めてすらいないのに一線を超えるとは何事ですか、夜斗様?」
「え俺なの?俺何もしてないんだけど」
「あんなに喜んでたのに!」
「誤解招くことを言うなこの局面で!」
「……」
「「ごめんなさい」」
来夏の無言圧力に屈した2人は額を床に叩きつけるような勢いで正座のまま頭を下げた
「とまぁ、霧桜様が勝手に言ってるだけなのは重々承知です。緋月さんに運び込まれた夜斗様を担いでここに降ろしましたが、次回からは私の自室にて休んでいただくことになりそうですね」
「なんでよ!?私の夜斗だよ!」
「独占禁止法に基づき、明け渡していただきます」
「主の私にテイコウするの!?」
「法の前には無力なのです、霧桜様」
「…俺の意思はどこへやら、だな」
立ち上がった夜斗は窓辺に移動し、縁に肘をついて笑いながら外を見た
これもまた、シアワセの形なのだろうと思いつつ、指を鳴らした
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます