第12話





服を着替え、レイン達の元へ戻ってきた頃には全員が意識を取り戻していた。



「お前さんが助けてくれたんだってな、本当に助かったぜ! 俺の名前はダインだ、宜しくな!」


「私…ニーナ…宜しく。」


「蓮也です。 訳あってこの森の奥でリリアと一緒に暮らしてました。」


「待ってくれ蓮也、さっきのフェンリルは何処へ? それで、その女性はいったい…?」



思わず口を挟むレイン。



「あぁ、人化したリリアですよ。メレアからローブを貰ったのはリリアの着る用なんです。」


「…そうか、神獣にまでなると、人に姿を変えれるのか…」


「騒がれたくないから、秘密にしてくれると助かります。それより、俺達は人の居るところに行きたいんですが、案内してくれると助かります。」


「あぁ、俺達も帰ろうとしてたからな。一緒に行くか。」



こうして、守護者のメンバーと共に、人の居る場所へ歩き始めた。半日程歩き続けると、大きな城壁が見えてきた。



「あれが王都だよ。」


「この国で人が1番集まってるわね。」


「酒も色んな種類あるんだぜ!」


「食べ物も…いっぱい。」



守護者の面々が、王都について教えてくれてる中、レインが問いかけた。



「そういえば、蓮也とリリアは王都で何をするんだ?」


「冒険者になるならうちのパーティにこいよ!」


「歓迎…」


「そうね、かなりの戦力アップになるわね。」


「そうですね、ある程度のお金を稼ぎつつ、色んな所を旅したいですね。それで、気に入った所でのんびり暮らします。」



連夜の答えに肩を落とす4人を見て苦笑いを浮かべる蓮也。



「蓮也、私は人間の食べ物が気になるわ!」


「それじゃ、向こうについて、薬草を売ったらご飯にしよっか。」



それから暫く歩くと大きな城門が姿を現した。



「マックさんお疲れー」



城門の前に立つ人物に声を掛けるレイン達。



「あれ、お前たち昨日出てなかったか?調査は終わったのか?」



マックとゆう男は門番らしい。 レイン達を見ながら問いかけてくる。



「いやぁ、調査は失敗したよ。 この蓮也とリリアが居なかったら間違いなく死んでいたよ。」



そう言ってこちらに目線を向けるマック。



「そうか、こいつらの事は駆け出しの頃から知っていてな。 助けてくれてありがとう。」


「いえいえ、俺達もここまで案内してもらって助かったので、お互い様です。」


「そうか。何はともあれ、無事に帰ってきてくれて良かった。」



そう言いながら笑うマックだが、暫くすると業務中である事を思い出し、業務に戻る。



「それでは、身分証明出来るものを提示ください。」



レイン達は、ギルドカードを見せながらすんなりと通っていく。



「あの、身分証明出来るものが無いんですが…」


「勿論、私も無いわよ。」



困ったように言う蓮也とリリアに、マックは水晶を前に出す。



「これに触ってくれ。犯罪歴を調べる水晶なんだが、光らなければ通っても良いぞ。」



蓮也とリリアは水晶に手を添える。



「犯罪歴も無いみたいだな! 通ってよし!」


「ありがとうございます。 お勤め頑張ってくださいね。」


「蓮也!早く行きましょう! なんだかいい匂いがしてるわ!」



そう言って急かしてくるリリアを落ち着かせながら、早歩きで街中へ足を進めるのであった。



「そういえば、薬草って何処で買い取ってくれるんですか?」


「あぁ、それなら冒険者ギルドで買取してるぜ!」


「商人に直接降ろしたりもできるけど、誰でも出来る訳じゃないからね。」


蓮也の問に答えたのはダインとメレアだった。



「ギルド…一緒に行く。」


「そうですね、それじゃ、もう少しだけ案内してくれると助かります。」


「ついでに登録だけでもして置くといいよ。 カードがあれば通行も楽に済むからね。気が向いたら何時でもうちのパーティに来てくれてもいいし!」



まだ諦めてなかったレインに苦笑いする蓮也とリリアだった。

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