第10話
見慣れた洞窟を、少し離れた所から眺める蓮也とリリア。
「此処ともお別れか、ちょっと寂しいな。」
『そうね、ずっと此処に居たから、寂しくないってことは無いわ。』
「…よし、そろそろ行くか。」
『えぇ、行きましょう。』
洞窟を背に、人里を目指して歩き始める蓮也とリリア。 そして、森もあと少しとゆう所まで来たが。
『止まって、蓮也。』
耳をピクピクさせながら話しかけるリリアに従い、歩みを止める蓮也。
「何かあったのか?」
『何処かで戦闘しているわ、人間の声もするから、恐らくはモンスターと戦ってるんじゃないかしら。』
「とりあえず様子を見てみるか。」
リリアについて行き、戦闘が行われている方へ歩みを進める。すると…
「くっ! ニーナ! 魔法で援護しろ! ダインは奴の気を引いてくれ! メレアは弓で牽制!」
リーダーの男が他の3人に指示を出していた。目の前に対峙するは、大柄な青い鬼だった。
「なぁリリア、初めて見るんだけど、アレって何?」
『ブルーオーガね、この前赤いのが居たじゃない?それの劣化版って感じかしら。』
「へぇ、それにしても手こずってるな。助けに行こっか。」
そう言ってブルーオーガの元へ走り出した蓮也とリリアだった。
冒険者side
俺の名前はレイン。Sランクのパーティ【守護者(ガーディアン)】のリーダーをしている。 先日、ギルドから''死の森''の調査を依頼され、来てみたは良いが。
「(なんだ、此処の魔物は! ゴブリンですら倒すのに時間が掛かるなんて!)」
死の森はその名の通り、入って生きて帰ってきたものが殆ど居ない。その理由は単純で、モンスターが強すぎるからだ。
「おいおい、あんだけ準備してきたポーションもかなり使っちまったぞ。」
アイテムの確認をしているのはダイン。 大きな体に頭を丸めている為、見た目はかなり厳ついが面倒見の良い奴だ。
「まずいわね、ゴブリンとコボルトしかまだ見てないけど、それ以上のが出てきたら逃げ切れるかどうか。」
不安そうに呟くのはメレア。 弓を使うハーフエルフだ。 碧眼で金の長い髪をポニーテールに纏めており、、ギルドでも人気の女冒険だ。
「…引き返す…?」
そう聞いできたのはニーナ。 とんがり帽子にローブを羽織り、大きな杖を持った魔法使いだ。黒い髪を肩で切りそろえ、赤い瞳でこちらを見据える。
「そうだな、過剰に準備したと思ったが、まだ足りなかったらしい。 撤退するぞ。」
皆が帰ろうとした時、ソレは突然現れた。
「ブルーオーガ、だと…」
レインはすぐにメンバーへと指示を飛ばす。
「(くそ! 刃が通らない!)」
レインは愛刀を力の限り振り抜くも、ブルーオーガにはかすり傷程度しか付いていない。しかし、傷を付けられたブルーオーガも黙っては居ない。
「グルァァァアア!!!!!」
ブルーオーガの拳をなんとか躱すレイン。 そこにダインが槌を頭へ振り下ろす。
「グ、グルァ」
少しはダメージも入ったようで、ふらつくブルーオーガ。
「お前ら、最後の指示だ。 俺がやつの気を引く、その隙に撤退しろ。」
レインが覚悟を決め、メンバーへと指示を出すが
「はっ!お前を置いて何処へ行けってんだ!」
「そうね、あんたは気負い過ぎなのよ。」
「皆一緒に…帰る…」
「お、お前ら…」
思わず視界が滲む。
「それじゃ、皆でアイツを倒して、一緒に帰る、ぞ…?」
振り返るとブルーオーガがいつの間にか、フェンリルの足元で息絶えていた…
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