第6話





『まずは魔力を感じるところから始めましょうか。』


「魔力を感じるって、どうやればいいんだ?」


『私が魔力を送り込むから、すぐに感覚は掴めるはずよ。』



そう行って蓮也に体を押し付けるリリア。そして、蓮也の中に温かいナニカが流れ込む。しかし、当の連夜は…



「リリアの毛並みはやっぱり良いなぁ。」



魔力を感じるはずが、モフモフの毛並みを堪能していた。



『何で撫でてるのよ! ちゃんとしないと怒るわよ!』




「いやいや、いやいやいやいや、リリアさん、こんなにも押し付けてきて撫でるなって方が無理だろ!」



『後で好きなだけ撫でていいから!早く魔力を感じなさい!』



そこからの蓮也の切り替えは早かった。 じっと魔力を感じる事に集中する。



(…これが、魔力か。)



『どう? 感覚は掴めたかしら?』


「あぁ、魔力の感覚は掴めたけど、これをどうすれば魔法になるんだ?」


『あとは簡単よ、その魔力を出して、イメージするだけよ。自分の属性は分かる?』


「全属性使えるみたいだよ、とりあえず火属性から練習してみようかな。」


『…へ? 全属性?』


「あぁ、女神様が使えるようにしてくれてな。 器用貧乏にならないようにしないとな。」


『わ、私でも3属性だけなのに…』


「あって困るものでもないしな。」


『はぁ…それじゃ、少し拓けたとこがあるから、そこに行きましょう。』



そう言って移動を始めたのであった。




『さて、この辺でいいかしら。お手本を見せるわね。』



そう言ったリリアの前に火の玉が現れ、楕円形になり、そして鋭い炎の槍となった。



「これが…魔法…!」


『今みたいに、慣れれば色んな形にできるからね。』


「詠唱とかは要らないのか?」


『詠唱?なにそれ?』


「いや、魔法を使う時には呪文を唱えるものだと思ってたからさ。」


『要らないんじゃない?私、そんなの知らないわ。イメージさえしっかりすれば良いだけだし。』


「そんなものか、よし、早速やってみるか!」



(体内の魔力を外に出して…うん、こんな感じか。あとはイメージか、小さい火の玉くらいならやり易いかな。)



イメージを固めて魔力を操作し、魔法を発動しようとする蓮也。



『蓮也!魔力込めす《ドカァァアン!!!!》…ぎ。』



目の前には大きなクレーターが出来ていた。



「…」


『…先ずは、魔力の調整からしましょうか。』



呆れた声色でこちらを見てくるリリアから、目を逸らすしか出来ない蓮也だった。 それからはリリアにアドバイスしてもらい、慎重に魔法を発動する。随分と集中して居たせいか、いつの間にか日が傾いていた。



『もう日も暮れるし、今日はここまでにしましょうか。』


「あぁ、ある程度の感覚は掴めたし、今日はもう帰ろっか。」


『ええ、帰ったらご飯にしましょ。』


「お腹すいたなぁ。」


『ふふっ、それじゃ、早く帰らないとね。』


他愛もない会話をしながら帰る、1人と1匹であった。






おまけ




『うぅ〜、いつまで撫でれば気が済むのよぉ』


「好きなだけ撫でていいって言ったじゃないか!」



満面の笑みを浮かべ、サラサラの毛並みを撫で続ける蓮也。



『ひゃん! そ、そこはだめ!』


「ここが気持ちいいんだな? よぉしよしよし!」


『だ、ダメだってばぁ!』



そんなやり取りが、小一時間程続いたようだ。





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