第21話 - 奪還の作戦3 -

-ガード-


「あと数十分で日付が変わります。晴れて夫婦ですね。ガード様。時間稼ぎをすればよいのは、私ですよ?」


「断固阻止する」


 ナックルナイフ2本を装備し、構える。


「――コールゲイト・ルモリーブ」


 ズシシン!


 詠唱した直後、シャーロテの後方に屋敷の入口と同等程度の大きさの扉が、後方、左右に2つずつ、計5個の扉がシャーロテを囲うように半円状に発現する。


 左右4つの扉は半開きとなり、それぞれ属性のカラーのように薄い発色をしており、薄く気味の悪いスモークが出入りしている。後方中央の扉は閉じられ、鎖がクロスで掛かってる。


「ああ、もうこれ絶対無理なやつだわ」


「シスター・エスティナさんとの試合は研究させていただいています。もちろん能力のほうも。OPコール&プット。四式以上でなければ解除できないようですね」


「私は一式の解除までしかできませんので、自力で技の対策をしました。冷却時間、使用限度回数も予測できています。不明なのは効果時間だけですね。30秒以上もあると考えています」


「……」


 ――そりゃ、ホームの魔導士に勝てないわけだ。使用回数は1日、3回。最大は3分だが、冷却時間はない。31秒以上は日に1回しか使えなくなる。俺も30秒以内の運用しかしたことがない。


 ガードは懐から拳銃を取り出す。問答無用でシャーロテに撃った。


 ダン!


 銃弾はシャーロテの直前で急激に減速し、ぐんっと曲がり、赤系の扉の中に吸い込まれていった。当たったらどうしよう、などとは思わなかった。当たらない確信があった。


「……」


「……お姉さまを倒した、拳銃ですか。一応対策していましたが、属性付きとは驚きました」


 ――エルが勝手にアレンジしたやつだな。いちいち中身は確認していない。色んな属性がランダムで出てくるだろう。


 拳銃は手に入れたが、銃弾が無かった。その製造を頼んでいた。それも不意打ちで撃って無力化された。札を手に取った。


「もしもし、朝姫さんですか? 俺だよ、俺。オレオレ。今――」


『やかましい!』 ブツンッ


「……」


 ――ヤベエ。


 その時――


 ブオンッ!


 一体に青い光が地面から発色する。


「しまっ これはフローラ様の!」


 シャーロテが反応する。4つの属性扉の機能の一部が無効化されたようだ。


「ガードさん、今です! シャルちゃんを拘束してください!」


 姿は見えないがフローラの声がした。シャーロテに突っ込む。が。


 バチンッ バチンッ


 地面に魔法陣が発現し、足を弾かれる。そう簡単に近づかせてはくれない。


「かかれ!」


 シャーロテが手を振りかざすと、後方の扉の鎖が解除され、武器を持った骸骨の軍団がぞろぞろ出てくる。ついでに倉庫に閉じ込められていた門番も出てきた。


 ある方向に向かっていく。その先にフローラがいた。魔法の発動で印を結んでおり無防備だ。


「ちっ!」


 シャーロテへのアタックを断念して、フローラへ向かう骸骨をなぎ倒していく。


「ガードさん、こちらより術士を直接叩いてください!」


「ダメだ! 俺は相当対策されている、近づけもしない!」


 扉の無力化に専念するフローラを守る形で、襲い来る骸骨を破壊しまくる。

シャーロテはフローラの魔法を対処しようと詠唱に入っている。


 !


 ブンッ!


 そこへ、転移で朝姫が現れた、直後に子爵も転移で現れる。


「ふんっ、スキを晒したな。もらった!」


「お、お待ちを!」


「クッ」


 シャーロテは朝姫へ魔法弾を数発放つが軽く鉄扇で弾かれる。


 ――!


 「そこまでだ!!」


 !?


 突如、第三の方向から急に声がした。その場の皆が振り向く。


「あ、あなたは――!」


 ――あいつは、ベーリット=ハーゲン! 左大臣のババアがなぜこんなところに!?


「全員、武器魔法を収めよ。これより、行政執行する」


 ぞろぞろと衛兵も侵入してくる。西区の衛兵団だ。


 !


 全員止まり、ベーリットのほうを見た。

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