第496話 告白大会
「――というわけです。とりあえず、報告は以上ですね」
「お疲れ様。そして、ありがとう、依桜君」
「いえ、今年は結構被害が大きくなりそうでしたので。……まあ、去年に比べれば可愛いものでしたけど」
去年なんて、銃火器だらけだったし。
それに比べて今年。
一応銃を持ってはいたみたいだけど、あんまり使われてなかった。
というより、使えなかった、の方が正しいのかも。
やっぱり、信念が違うよね、テロリストとだと。
向こうなんて、目的の為なら殺人も辞さない、っていうスタンスだったし。
まあ、今年は人的被害がほとんどでなくて助かったよ。
中には怪我人もいたみたいだけど、ボクの指示通りにフィルメリアさんたち、天使のみなさんが頑張ってくれたみたいだし、悪魔の方も鎮静して回ってくれていたみたいだしね。
本当に優秀だよ。
……だからこそ、ボクなんかの下に付くのは変だと思うんだけどなぁ。
「そうね。補填の方は依桜君がする、だったわよね?」
「はい。生徒会室に籠って、食材や資材の生成をするつもりですよ。……まあ、生徒会室の前を見たら、かなりの紙があったので、結構な魔力を消費しそうですが」
「こっちから出してもいいけど、その分遅れちゃうものねぇ」
「そう思って、ボクが補填をしようかなと思ったんです。学園長先生、この後警察相手の事後処理とかが待っているんですよね?」
「去年に引き続き、今年も事後処理よ……。ま、告白大会を見てから、そっちに行くつもりよ。その間の学園の防衛とかは、依桜君に任せるわ」
「はい。ちょうど、天使や悪魔のみなさんが来ているので、そっちにお願いするつもりです。……それにしても、どうして武器の持ち込みができたんですか? あの人たち」
騒ぎを鎮めるために奔走している時に思った疑問を、学園長先生に尋ねる。
すると、学園長先生は頭痛をこらえるように、こめかみを指でぐりぐりしつつ説明してくれた。
「……その辺りは、ついさっき情報が入ってね。どうやら、かなりベタな方法だったみたい」
「ベタ、ですか?」
「えぇ。ほら、うちの学園って監視カメラが設置してあるでしょ?」
「はい、そうですね。主に建物がある場所とか」
「そ。それでまあ……天才的な泥棒とかがいたんでしょうね。うちの学園のセキュリティーをかいくぐって学園の敷地内に侵入。その後、割と深めの穴を掘って、そこに埋めてたみたいなのよねぇ。あ、もちろん武器が使い物にならないなんてことがないよう、袋とかに入れてたみたいよ」
「なるほど……。たしかに、今年は銃火器や小型の武器を重要視するあまり、入場の際の検査と、軽く敷地内を調べていただけ、ですもんね……」
「そうなのよぉ……。まさに、灯台下暗しよね……。学園を大きくした弊害ね、これは。来年からは、そっちも重点的にしないと」
「……ですね」
まさか、学園の敷地内に埋めているなんて思いもしなかったよ。
それにしても、その侵入した人……なかなかにすごい。
この学園、去年の一件でセキュリティーが厳しくなったんだけど、それをかいくぐって侵入するなんて……。
……もしかすると、どこかにセキュリティーの穴があって、そこから入った、とかもあるかも。
それ以外だと、その人の職業が『泥棒』もしくは『スパイ』的なものだった可能性もあるね。
異世界旅行の一件で、こっちの世界の人にもステータスはあって、しかもそれが、無意識的に働いているなんていうことが判明したわけだし、そんな人がいても不思議じゃない。
今後の課題かなぁ……。
「はぁ……。まさか、アナログな方法で襲撃を受けるなんてね。最悪よ……」
「まあまあ。これでまた、新しい問題点が見えたわけですし……」
「……それでも、襲撃は学園長として、やっぱりきついわけよ。来年こそは、無事にしたいものだわ……」
「……そう、ですね」
このことをしっかりと胸に刻んで、来年はみんなで平穏に回れるようにしよう。
「……さて! 報告はこの辺りにして、依桜君はささっと戻って。生成するって言っても、ちょっとは時間がかかるでしょうし。間に合わなくなるわよ、大会」
「あ、そうでした! 鈴音ちゃんの雄姿を見ないと! あと、態徒の反応も」
「ふふっ、青春ねぇ。……じゃ、そろそろ行った行った。あとの事後処理は大人に任せて、学園生は学園生らしく、学園祭を楽しむこと」
「はい。それでは!」
「ええ、楽しんでねー」
学園長先生の優しさが混じった言葉を背に、ボクは生徒会室へと向かった。
「お待たせ! もう始まっちゃってる?」
報告と補填を終え、みんなところへ戻ると、そこではかなりの数の人だかりができていた。
いつもの能力を使って、みんなの元へ。
尚、メルたちはクラスの友達と回る約束があるそうなので、そちらへ行っています。
「遅かったわね、依桜。大丈夫、まだギリギリ始まってないから」
「よかったぁ……」
「それにしても、随分遅かったねぇ。事後処理が大変だったの?」
「ちょっと、被害が出たところの補填をね。おかげで、ほとんどの魔力を使っちゃって……かなり疲れちゃった」
「あ、ほんとだ。依桜ちゃん、ちょっと疲れた顔してる」
エナちゃんが、少し驚きつつ、そう指摘をする。
「え、もしかして顔に出ちゃってた?」
「あぁ。出てるな。というか、少しだけふらついてないか?」
「……ちょっとだけ、ね。でも、大丈夫だよ。すぐに戻ると思うし」
晶の指摘通り、少しだけ体がふらつきはするものの、それでも問題ないレベル。
向こうの世界で暮らしていた時なんて、これ以上にフラフラになることが常だったから、問題なし。
「あんまり無理しないでよ?」
「もちろん。これでも、師匠の弟子だからね。引くべき時に引く、これは暗殺者としての鉄則だったから」
「あの人、酷い教えをする時が多いが、そういう逃げに関することは真面目なんだな」
「そうだね。師匠としては、逃げきれればそれはそれで勝ち、っていう持論を持ってるし」
意味合い的には、その時に得た情報から、新たに対策を立て、勝てるようになれば負けにはならないから、だそうなので。
「そういうのってやっぱり、過去の経験から来るのかな? ミオさん、経験豊富だもん」
「そうかもしれないね。師匠、かなり長生きみたいだし」
エナちゃんの考えをボクは肯定する。
何百年生きているかはわからないけど、だとしても確実に経験は豊富そうだもん。
……まあ、師匠が逃げる必要がある事態、ということは何も思い浮かばないんだけど。あの人、強すぎるし。
『あー、あー……んんっ! えー、テステス。……よし、問題なし。……はい、中庭にいるみなさーん! 大変長らくお待たせいたしましたー! ただいまより、『叡春祭』一日目の目玉イベント、羞恥心ぶっ飛ばし企画『大告白大会』を始めたいと思いまーす!』
『『『YEAHHHHHHHHHHHHHHHHH!』』』
「っと、そろそろ始まったみたいだな」
「だね」
話している間に、イベントの司会者さんが中庭のステージに現れ、開会を宣言。
すると、イベントを見に集まった生徒・お客さんたちの怒号にも近い歓声が上がる。
すっごい盛り上がってるなぁ。
『さてさて、今回のイベントの司会を務めさせていただくのは、今朝の放送を担当しました、報道部部長、豊藤千代が務めさせていただきますので、よっろしくお願いしまーす!』
豊藤先輩、多忙だなぁ。
たしか、明日のミス・ミスターコンテストも豊藤先輩だった気が……。
もしかして、学園祭のイベント系の司会、全部豊藤先輩なんじゃ?
『えー、それではまず初めに、先ほどのヤクザ襲撃イベントに関することを』
あ、あれまたイベント、ということで片付けるんだ。
……まあ、うん。そうだよね。
『昨年は、突発的イベント、テロリスト襲撃イベントが開催されましたが、今年は身近なもの、ということでヤクザが襲撃してくるイベントとなりました。イベント中、思わぬアクシデントで被害が出た方もいるかと思いますが、そちらの補填はされているはずですので、それで許してください。尚、この際学園中には、やたら強い集団やら、治療に長けた美形の方、その他にもいいヤクザさんたちに、我らが叡董学園の現生徒会長の男女依桜さんなどが活躍しておりましたが、それらは全て、演出ですのでご了承ください。そして、サインが欲しい! という方々もいるかもしれませんが、それらに関しては本人様方の迷惑となりますので、押しかけたりしないよう、お願いいたします』
その注意事項に、残念そうな声が混じる物の、案外すんなりと納得してくれたようで、不満気な声はすぐに収まった。
多分これ、学園長先生があらかじめ豊藤先輩に渡してくれたんだろうね、台本的なものを。
あれだけの大事だったわけだし、こう言った人が多く集まる場所じゃないと、説明は難しいよね。
学園祭の規模が大きいからこそ、とも言えるかも。
これが普通の高校の文化祭とかだったら、さすがに誤魔化しきれなかったかもしれないけど、この学園の学園祭は異常なまでに規模が大きいから大丈夫だったと。
『それでは、本イベントに関する説明をば。今回のこの告白イベントですが、事前に参加者を募集し、ステージ上で告白する、というものとなっております。まず最初に、告白者がステージ真ん中に上がり、相手を指名します。指名された方は、すぐにステージに上がり、告白タイムとなります。現状、五十名ほど参加者がいますが、その後の飛び入り参加も大歓迎です。もちろん、学生さんだけではなく、外部からお越しのお客様方の参加もOKですので、勇気ある猛者たちはどうぞ!』
豊藤先輩がそう言うと、会場は一気にざわついた。
ご、五十人もいるんだ。
……多くない?
「私の予想だと、五十人の内半数近く、もしくは半数以上が依桜に告白すると見たわ」
「俺も」
「わたしも」
「うちも」
「なんで!?」
「去年の学園祭の打ち上げの際、かなりの人数に告白されてたじゃない。あと、ホワイトデー兼卒業式の日とか」
「……うぐっ」
それを言われると……。
頬を引き攣らせたボクを見て、晶は苦笑いしながら話す。
「……まあ、振る側としては、あんまりいい気はしないがな」
「だねぇ。わたしも告白はそこそこされる方だけど、本当に申し訳ないんだよねぇ」
「うちもわかるなぁ。うちも告白されることはあるし、今もたまにされるけど、心に刺さるよね。あと、うちの場合はアイドルだから、というのもあるし」
「……私たちのグループ全員、モテるわよね。態徒も含めて」
「「「「たしかに」」」」
未果の発言に、ボクたちは全員肯定した。
態徒は『モテない、モテない』とか言っている割には、何気にモテていたりする。
実際、鈴音ちゃんがいい例だし。
変態的な部分さえなければ、晶レベルで持てると思うんだけどね。
……まあ、ボクたちがそれを言わなかったのって、鈴音ちゃんの存在が合ったからなんだけど。
『ちなみに、告白者の方と、される方は伏せられておりますので、ドキドキをお楽しみください。それから、イベント中の注意点としまして、変な冷やかしはやめてください。告白する人たちは、真剣にやろうとしておりますので、それで台無しにするようなことは絶対にしないよう、お願いいたします。もしやってしまった方がいるようであれば……消されます』
(((誰に!?)))
『とはいえ、応援などは全然ありですので、その辺りは臨機応変にお願いします。それから、これはとあるファンクラブに所属する方たちへの注意点ですが、今回に限り、告白はOKらしいので、鉄の掟は無視で大丈夫とのことです』
『『『おおおおおおおおおおお!』』』
「……」
「あー……何と言うか……ドンマイ」
「……あはは」
豊藤先輩の注意事項を聞き、ボクは遠い目をした。
それを見ていた未果たちは、ぽんぽんとボクの肩を優しく叩いて慰めてくれました。
……伏せられていてもわかるのって……。
『そして最後に。カップルが誕生しても、振られても、温かい拍手をお願いいたします。まあ、振られてしまった場合は、健闘した、という意味合いでお願いします。成功した場合の方は、それはもう全力で拍手してください。こう、『リア充になりやがって! 爆発しろー!』的なので大丈夫ですので、お願いします。……さて! 長い前置きはこの辺にして、そろそろ始めたいと思います! 皆様、心の準備はいいですか!?』
『『『YEAHHHHHHHHHHHHHHHHH!』』』
『いい返事ですね! それでは、告白大会を始めていきたいと思います! それでは、まず最初の方、どうぞ!』
そんな感じに、イベントが始まりました。
『先輩のことが好きです! 付き合ってください!』
『……よ、喜んで!』
『おーっと! カップル誕生――――! 盛大な拍手! 拍手をお願いしまーす! おめでとうございま―――す1』
「……」
目の前で誕生するカップルを見て、オレは内心、『爆ぜればいいのに』と思った。
なんかこのイベント、モテない奴相手にはクッソしんどい奴じゃね?
しかも依桜たちはさ、
『あ、態徒は一人で見てね』
って言ってきて、なぜかオレだけハブるし……。
一人でこのイベントを見るのって、マジで堪えるな。
……まあ、地味に面白いことになっているんだが。
何せ、
『好きです! 付き合ってください!』
「ごめんなさい!」
『マジでラブしてます!』
「ごめんなさい!」
『あなたは私の太陽だ……だから、傍にいてほしい』
「ごめんなさい!」
さっきから連続して依桜が告白されてるからな。
何が面白いかって言えば、告白の度にステージに上がるもんだから、上がっては下り、上がっては下り、と言った様子でかなり忙しないことになってるからな。
モッテモテ美少女は大変だなぁ。
……ま、オレはこういうのとは一切縁がないんだけどな!
どうせ、告白されるなんてこと、あるわけが――
『はい、男女依桜さんの三十人切りが達成されたところで、次の方へ参ります。次は……二年一組、七矢鈴音さんです!』
予想外の名前が飛び出した。
え、七矢!?
マジで!?
慌ててステージに注目すると、たしかにそこには七矢が。
顔を真っ赤にして、今にも逃げ出してしまいそうなくらいに、恥ずかしそうにしているが、たしかにあれは七矢だ。
……え、マジ? 七矢がこんな注目を集めるようなイベントに参加する姿とか、全然想像できなかったんだが……意外と、するのか?
…………ん? ちょっと待て。
この大会に七矢が参加するってことは…………七矢に好きな奴がいるってことか!?
な、なんてことだっ……!
やべぇ、何気にショックなんだが……。
……これは、あれか? もしかしてオレ、マジで七矢に惚れてる、とか?
お化け屋敷ん時にもちょっとは自覚したが……くそぅ、オレ、恋愛の神様に見捨てられてんのかねぇ……。
はぁ……何もせずに失恋とか、キッツいなぁ……。
『なるほどなるほど……はい、では指名をどうぞ!』
さぁ、誰だ? 七矢なんていう、超いい奴のお眼鏡に叶った人物は……
「え、えと、に、二年、三組、の」
お? うちのクラスの奴?
ってことは……晶とかか?
いやでも、依桜って線もあるか。
……まあ、誰でもいい。
変な奴じゃなきゃ、祝福を――
「か、変之、態徒君、です……!」
………………ん?
今、なんて言った……?
ま、まさかとは思うが……オレ?
……い、いやいやいやいや! ないない、ないって!
七矢みたいな、マジでいい奴が、オレなんかに告白するとか――
『えー、会場内がものっそいざわついていますが……とりあえず、二年三組の変之態徒さん、ステージに来てくださーい』
やっぱオレ!?
うっそ!? マジで!?
……いや、ほんとに?
『おい、変態』
「お、お前は、柔道部の烏丸!」
『あの娘、待ってんぞ。早く行けよ、クソ野郎』
「ちょっ、押すなって!」
オレは、烏丸に背中を押されるまま、ステージ前へと追いやられた。
なんなんだ、あいつは……。
そう心の中で文句を垂れるが、ステージに上がり、七矢の顔を見るなり、それらは一気に消え、代わりに謎のドキドキがオレの思考を真っ白に漂白した。
『うっそ、マジかよ……』
『あんな可愛い子が、あのド変態クソ野郎なんかに……?』
『変態に弱みでも握られてるの……?』
ひでぇ言いぐさだなぁ、おい。
……いや、今はそんなことを考えている場合じゃねぇ。
目の前のことに集中…………。
『さぁ! 運命の告白タイム、どうぞ!』
司会の合図で、七矢の口が動き出す。
七矢の顔は、今にも火が出そうなくらいに真っ赤なのに、目だけは真剣にオレを見つめていた。
や、やべぇ、なんて破壊力だ……!
そんな七矢は、何かを喋ろうとしては、口を噤み、再び開いては噤む、ということを繰り返す。
その間、オレの心臓はバックンバックン! とうるさいほどに鳴り続ける。
そうして、体感的には数分程の時間が流れ、意を決したように、七矢が口を開いた。
「わ、わたし、は……ちゅ、中学生の頃に、態徒君、に、助けられてから、ずっと……態徒君を想って、いまし、た」
「――ッ」
「態徒君、は、いつも優し、くて、おどおどしているわたしを、引っ張てくれ、たり、一人でいる、と、話しかけてくれ、たり……いつも、わたしを助けてくれて、そして、安心させてくれ、ました……」
……うるせぇぞ、心臓。
そして、聞き漏らすなよ、目を逸らすなよ、オレ……!
「だ、だか、ら…………か、変之態徒君。大好き、です」
「――」
「わ、わたし、と……………つ、付き合って、くださいっ……!」
少しどもりつつも、一生懸命に話した七矢は、そのセリフと共に、頭を下げた。
(ほらほら、さっさと返事しなさいよ)
(そうだぞ。お前にとって、一生ないかもしれないチャンスだ。ふいにするなよ)
(にゃはは! さぁさぁ、答えは答えは!? ちな、はい、Yes、オフコース以外ないぜー)
(態徒君、鈴音ちゃんに恥をかかせちゃダメだよ!)
(振ったら殺しちゃうから♪)
あ、あいつらぁっ……!
こういう時に限って、例の指輪を使うんじゃねーよ!?
あと、依桜がクッソ物騒なんだけど!?
「態徒、君……?」
ごふっ!
や、やべえ、なんかすんげぇ不安そうにしている七矢……可愛すぎるし、同時にオレの心にぶっ刺さるんだが!?
…………ふっ。まあ、答えなんて一つしかねーよな!
「おう! オレなんかでよければ、喜んで!」
「~~~っ! 態徒、君っ!」
オレが笑顔でOKすると、感極まったのか、七矢は思いっきりオレに抱き着いてきた。
……や、やべぇ! 七矢超柔らかいんですけど!?
こ、これが、女子とのハグ……嬉しすぎて、語彙力が溶けそう!
「誕生―――――――! なんと、学園一の変態男子と噂される変之態徒さんと、お嫁さんにしたい女子ランキングのトップ3の内の一人、七矢鈴音さんのカップルが誕生しました――! みなさん、この美女と野獣的な新たなカップルの二人に拍手を――!」
そう言うと、観客たちからものすごい量の拍手が鳴り出す。
最も……
『このクソ野郎! テメェだけいい思いしやがって!』
『後で憶えてろよー!』
『爆発しろ―――――!』
『普通に死ね―――!』
『豆腐の角に頭ぶつけて死ね!』
『隕石でも落ちろ!』
罵倒されてるんだがな!
ってかあいつら、全力の笑顔でとんでもねぇこと言ってるよな!?
「態徒、君」
「お、おう? なんだ――んむっ!?」
『『『おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉx!』』』
不意に呼ばれたと思ったら、なんかいきなりキスされた。
そして、周囲からは歓声が上がった。
「ん……はぁ。……え、えへへ、こ、これから、よろしく、ね?」
キスをし、離れた七矢は、恥ずかしそうにしながらも、ものすごく色っぽい顔をしながら、そう言った。
「……お、おう。よろしくな、七矢……じゃないな。あー……鈴音」
「――っ! う、うんっ! 大好き……!」
……オレ、明日死ぬかもなぁ。
世界で一番可愛いと思える笑顔を浮かべながら、大好きと言った鈴音を見て、幸せを感じたオレは、本気でそう思った。
尚、この後オレの友人たちにボコボコ(じゃれ合う程度で)にされたが、最後には祝福されたのが、マジで嬉しかった。
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