それから僕たちは、いくつかのお店を回った。革命軍の行きつけだという店達は、外観は普通の商店だが、どれも奥に小部屋が用意されており、そこで商品の受け渡しが行われた。

「あんがとよ!またよろしくな!」

「ええ、今後もよろしく。」

 機械部品の専門店を後にし、ホワイトはメモに目をやる。

「えっと…後は…あんたの偽造パスポートと、社交界用のドレスね。」

「偽造パスポートって…エレベーターの?」

「ええ。それが無いとろくに移動出来ないもの。今日みたいなのは二度と勘弁だから。」

 彼女は僕をにらむ。まだ階段のことを根に持っているらしい…

 そんなことを考えながら、彼女の隣を歩いていると、ふと、視界が横にずれた。立ち並ぶお店の中に、ひときわ目立つガラス張りの店舗。ショーケースの中には、たくさんの機械仕掛けの時計が飾ってあった。

「うわ…凄い…」

「なに立ち止まってるの。」

 お店の前で見入る僕に、ホワイトの声。

「ホワイト!見てくれ!」

 なによ、と言いながら、ホワイトは僕に歩み寄った。

「ほら、すごいだろ。クロックロート社の腕時計だよ。それも、どれも最新式だ。マナを使わないで、歯車だけの昔からの技法で時計を作っているんだよ。すごく綺麗だと思わないかい?」

「…あんたって、時計オタクなの?」

「ホワイトは…あんまり興味ない?時計。」

「全く無いわね。時計なんて時間さえ分ればいいもの。」

 彼女はあきれたように話す。

「そうか…でも、時計って面白いんだよ。たくさんの歴史ある技術が集まってできてるんだ。…いいなぁ…僕はいつか、クロックロート社の時計を身につけることが夢なんだ。高いから、今は無理だけどね。」

「ふーん。」

 彼女はもう興味を失ったのか、スカートの袖を指先でいじっていた。

「そうだ…もし、その時になったら、ホワイトにも時計をプレゼントするよ。」

 僕のいきなりの提案に、彼女は顔をこちらに向けた。

「私に?…いいわよ別に、時計なんて。興味ないし。」

「いや、絶対似合うと思うんだ。僕がお金をたくさん稼げるようになったらだけどね。」

「はいはい、わかったわかった。馬鹿なこと言ってないで、さっさと次の店に行くわよ。」

彼女は、ショーケースに張り付く僕にあきれたように、軽くため息を吐いてから、歩き出す。僕は、もうちょっとだけ見ていきたい思いを我慢しながら、再び、荷物持ちとして彼女の後を追った。

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