第148話 一緒
シュウジと美香の3人で実家の中に入ったんだけど、シュウジの母親は美香を見た後「さっき聞き忘れたんだけど、もしかして従業員の方?」と聞いてきた。
「うん。 あ、美香のこと、兄貴に言わないでね」
「美香さんって、園田美香さん?」
「もしかしてなんか聞いてる?」
「聞いてるわよ! この前会った時『大地がすごい子拾ってきた』ってすごい喜んでたのよ? この子がそうなのねぇ。 あ、和室、自由に使ってね」
意味有り気な言葉に引っ掛かりつつも、和室に入ったんだけど、美香は少し緊張気味だった。
「2DKだから俺もここで寝るしかないんだけどいい?」と聞くと、美香は「今更なに聞いてるんですか?」と、意地悪をするような表情で聞いてきた。
「確かにそうだよな」と言うと、シュウジはたくさんのおもちゃを持ってきて「ねえちゃん、これで遊ぼうぜ!」と言ってきた。
「それより風呂だろ?」と言うと、シュウジは「ねえちゃん、一緒にふろ入ろうぜ!」と…
「お前なぁ、俺も一緒に入ったことねぇんだぞ?」
「じゃあ3人で入ろうよ!」
「狭いよ!」
「じゃあ、ねえちゃんと入る」
「ダメだって!」
シュウジは少し泣きそうな顔をしたんだけど、すかさず「泣いたら姉ちゃん帰っちゃうぞ?」と言うと、シュウジは「ないてないもん!」と意地を張るばかり。
しばらくシュウジと言い合いをしていると、シュウジは「しゃーないからにいちゃんと入ってやっか!」と言った後、「ママー。 にいちゃんがシュウジとふろ入りたいって~」と言いながら部屋を出て行った。
「あいつ頭、どうなってんだよ」と言いながら立ち上がり、押し入れから布団を出そうとすると、美香はすぐに横に来て「あとやっておきますから、シュウジ君のところに行ってあげてください」と言ってきた。
耳元で「今度一緒に入る?」と聞くと、美香は顔だけではなく、耳までもが一気に赤くなっていく。
そんな姿が可愛らしすぎて、思わずクスッと笑った後「真っ赤」とだけ言い、部屋を後にしていた。
シュウジと風呂に入り、頭を洗ってやっていると、シュウジは手で目を隠しながら「にいちゃん、ねえちゃんのこと好きなの?」と聞いてきた。
「そうだよ」
「どれくらい?」
「どれくらいって… いっぱいかな?」
「シュウジもね、ねえちゃんすきなんだよ」
「…だろうな」
「ねえちゃんってだれがすきなのかな?」
「そりゃ… 兄ちゃんに決まってんだろ」
「なんで?」
「なんでって… なんでだろうな? ほら、流すぞ」
そう言いながらシュウジの頭にシャワーを当てていた。
『美香の好きな人か… 待っててくれって事は、俺でいいんだよな? それとも、断る理由を探してるのか? まさかな… でも、好きって言葉聞いてないし… やべぇ… わかんなくなってきた…』
考えれば考えるほどわかんなくなってしまい、シュウジの頭にシャワーを当て続けてていた。
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