居場所
46 俺の胸にも飛び込んでこい!
病院の待合所でミシェルが手続きを済ませるのを待ち、一緒に駐車場へ向かって車に乗った。
傷は完治していないが気力や体力は戻ったので、家に戻り経過を見ることになった。季節は12月半ば。街はクリスマスモード一色でネオンに飾られた
20分ほどで家に着き玄関から入ろうとするとミシェルに呼び止められる。店の出入り口から入るように指示されて
「退院おめでとう~亘!」
カーテンの閉め切られた店内にいたのは同種のみんなだった。亘の退院祝いを計画しサプライズで驚かせようとしていたようだった。突然の事に
「わたる~ん!退院おめでと~!治って本当に良かったね~!」
キャシーが亘を熱く
「キャシー、そのままじゃ亘が息できないよ」
「え?わぁぁっ!ごめんね、わたるん!」
ようやく胸の壁から離れられ呼吸を整える。危うく
「なんだよ、キャシー。退院祝いに体を使ってサービスか?」
褐色肌のアンドレがキャシーの行動を
「違うわよ~人は嬉しいとき
「なにっ、そうなのか!よし、亘!俺の胸にも飛び込んでこい!」
両手を大きく広げてアンドレが亘を呼び寄せようとする。突き出された
「いいっ、いいです!
「遠慮するなっ、ほれ!」
「ひぃっ!」
「やめてあげなさい、アンドレ君。貴方の胸板に押し潰されたら、亘君は
困り顔をした
ミシェルが皆を席に促し用意された料理を食べ始める。ピザやパエリアなど、様々な料理が並べられておりキャシーが皿に取り分けて亘の前に置く。
同種のみんなも同じ料理を食し語らう。そこには人と同種の
「ケリーさん!」
ケリーの姿を見て亘が席を立ちかけ寄る。
「やぁ、退院おめでとう。悪いね、見舞いに行ってやれなくて」
「いいよ、そんなの。ずっとお礼が言いたかったんだ。俺が乗ってた車を見付けてくれたのはケリーさんなんでしょ。本当にありがとう!」
「まぁ、偶然だけどね。無事で本当に良かった」
主役がパーティーそっちのけで立ち話を始めたので、ミシェルが立ち上がり二人の間に入る。
「来てくれてありがとう、ケリー。ほら、二人とも席について」
ミシェルに促されケリーも交えて食事会は再会した。話題は主に犯人のことや誘拐からの救出劇の話だった。
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