ないものねだり。

僕はコンプレックスの塊だ。

昔から内気で、人見知りで、

コミニュケーションをとるのが苦手。

そんな僕にとって、君はまさに高嶺の花というべき人物だった。


クラスの人気者で、高校ではいつも学級委員。

明るくて、笑顔が印象的。

誰よりも努力家。何の欠点もない君。

そんな君を僕はいつも影から見るばかりで、近づくことなんて出来なかった、あの日までは。


「ねぇ、いつもなんでここにいるの?」

ある日、君がそう言って屋上にあるベンチに座る僕に話しかけてきた。

僕は少し戸惑いつつも、

「、、、落ち着くから」

と一言話した。

そこから、君と沢山話した。

ずっと手の届かないような女の子だと思っていたけれど、本当はごくごく普通で優しい女の子だったから。


「君はさ、私にないものがあるの」

「ないもの?」

「それはね、、、」

「、、、何だよ」

「秘密」

そう言って君は僕をはぐらかすのだ。

だけど、僕は思う。

君の方が僕にないものがたくさんあるはずだと。

だから、君に惹かれるのだと。

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