夢小説 ミッション

俺は大輝。新高1だ。俺は、これからあるミッションに出る。誰もこの俺を止めることは出来ない。ただいま、朝の6時。今年のお年玉も持ったし、スマホも持った。完璧だ。みんな寝ている隙にこの家を出る。誰にも気付かれずにだ。第一関門クリア!


〇〇駅に着いた。ここは地元の駅。これから毎日この駅から高校に通うのか。よろしくな、〇〇駅。受験の時のSuicaの残金で楽々改札クリア。目指すところは東京駅、新しい相棒のスマホで行き方チェック。便利だ。さすが相棒。使える奴だ。


7時半、東京駅。腹が減った。立ち食い蕎麦屋に入る。食券を買う。Suicaで買えた。意外と簡単だ。量が少ないけど、美味い蕎麦だ。まあ、良しとしよう。みどりの窓口と言うところで、チケットを買う。ミッション先は福岡の博多。大人1枚。ここも簡単にクリア。「大人1枚!」いい響きだ。


スマホが鳴る。姉貴からだ。

姉貴「大、今どこに居るの?」

俺様「ただいまミッション中」

姉貴「はあ?急に居なくなるからみんな心配してるよ!」

俺様「心配するな。そのうち話す」

姉貴「あっそ。じゃあ、頑張って〜」


新幹線に乗る。俺の席は3号車12A1。あった。窓側だ。景色が見えるぞ。人がたくさん乗ってきた。俺様の隣は誰が来るのだろう?以前、家族旅行で隣に座られたマッチョなオヤジはごめん被る。シートがキツイし何時間もの筋肉自慢は死ぬほどウザイ。

ウワッ、婆ちゃんが座った。気まずい。どうするべきか。寝とくか俺。いや、ここは大人として世間話の一つでもするべきか。婆ちゃんが飴玉くれた。どうやら俺は聞いてるだけで良いようだ。

婆ちゃん「お兄さん、1人なの?」

俺様「そうです」

婆ちゃん「いくつ?」

俺様「4月から高校一年です」

婆ちゃん「まあ、1人で。どこまで?」

俺様「博多まで」

婆ちゃん「偉いわね。私にも孫がいてね・・・」

怒涛の1人語りが始まった。途中まで頑張ったが、睡魔との戦いに俺様は参戦。寝てしまった。


博多駅に着いた。改札を出る。さてどこに行こうか。福岡県に来ることが目的で、その先を考えていなかった。また姉貴から電話だ。

姉貴「今どこ?ミッションとやらは終わったの?」

俺様「遂行中だ。そして今は博多にいる」

姉貴「うそだぁ。で、どこにいるの?お母さんいなくなったってオロオロしてるよ」

俺様「だから博多」

姉貴「えー、ほんとに?あんたバカじゃないの!」

俺様「母さんには言うな。ミッション遂行中だ」

姉貴「博多かぁ。福岡タワーが有名なんだよね。周りに公園があるらしいよ。海浜公園とか。行ってみたいなぁ。そうだ、あんた。そのタワーでお土産買ってきて。頼んだわよ」


姉貴からのミッションが新たに加わった。タワーまでの道順を相棒で見る。やはり、使える奴だ。バスに乗るのか。

タワーに着いた。ミッションのお土産は何が良いのだ?あいつはまんじゅう食わせとけばご機嫌だからな。まんじゅうで良いか。あっ、美味そうな餃子がある。これも買おう。Suicaで精算。なんなくクリア。

俺は今、猛烈に感動している!

たった1人でしかも初めての電車でしかもこんな遠い福岡県まで来た。大人だ!俺様すごい!!天才かもしれない!!!


海辺の公園を散歩する。相棒で写真を撮りまくる。ここのアングルがとかこだわって撮ってみた。結構上手く撮れた。チャリで海を観ながら走ったら気持ち良かっただろうな。俺様の愛車。今日は家で留守番だ。あいつでこの道を走り回ってみたかった。砂浜に座る。しばし休憩だ。


俺は今、大変なことに気付いてしまったかもしれない。財布を見ると、帰りの新幹線代が足りないことに気付いてしまったかも。試練だ。これは試練だ。ミッションの最難関に当たってしまった。俺は今、神に試されている。どうするべきか。とりあえず、姉貴に電話。


俺様「あ、もしもし。俺」

姉貴「なに?」

俺様「最難関のミッションに当たっている。助けて欲しい」

姉貴「何、あんた、普通に喋れないの?ミッションって(笑)」

俺様「俺は今、モーレツに困っている。帰りの電車賃が足りない」

姉貴「(大爆笑)今、どこに居るの?」

俺様「福岡タワーの海浜公園」

姉貴「じゃあそこに居て。ミッションの大元締めが現れるから」

俺様「大元締め?・・・」


しばらく砂浜の階段で座って待つ。また電話が鳴った。母さんだ。

俺様「もしもし」

母さん「大輝。どこにいるの?」

俺様「福岡タワーの海浜公園。電車代無くなってさあ。どうしようかな」

母さん「いたいた」

俺様「?」

母さん「私が大元締めです(笑)」


なんと後ろから母さんが来た。

母さん「やっぱりGPS付けといて良かったわ。お姉ちゃんがあんたをここに引き留めておいてくれたから」


なんだそう言うことだったのか。母さんが俺様のお土産を見る。お饅頭と餃子。

母さん「お饅頭は大丈夫だけど、餃子は要冷蔵だからお土産には向かないよ。痛んじゃう」


俺様のミッションはこうして幕を閉じた。今度は帰りの電車賃と宿泊代を持って来ると固く誓った。(完)





※今日見た夢を膨らませて書きました。

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