第四百四十一話 防衛部隊が勝利する時

「た、隊長!!撃沈までは行きませんが各部に損傷が発生しています」


防衛部隊の攻撃を受けた星間連合の兵士が目と口を見開きながら説明する。

それを聞いた部隊長は


「ええい、こちらの戦力はどうなっている?

レーザーの光が邪魔で目視出来ん!!」


と部隊の状況を確認するように告げる。

それを確認するのは果たして何の意味があるのか、

戦艦に乗っていた乗組員は内心でそう思っていた。


「既に半数以上が撃墜されています!!

更に敵側の部隊は一機も撃墜できていません」


乗組員の一人が隊長に向かって言ったこの発言だけでも、

既に侵攻部隊が不利な状況にいるのは明らかであった。

それを聞いた隊長は


「ええい、やむを得ん……

ここは一度後退して部隊を立て直すぞ」


と顔を少し下げる。


「りょ、了解しました!!」


それを聞いた乗組員は胸を撫で下ろすような動きを見せた後に、

戦艦を後退させる為の操縦を行おうとする。

だがその直後に


「ガキン!!」


と言う大きな金属音が響き、同時に戦艦全体が大きく揺れる。


「な、何だ!?一体何が起こった」


部隊長が大きく首を振って周囲を見渡すが、

当然そこには乗組員しかいない。


「今原因を調査します……これは!?」


乗組員の一人が画面を目視し、

手元のスイッチをカタカタと高速で動かすが、

程無くしてその手元は止まる。


「どうした、原因は分かったのか!?」


部隊長が乗組員に再度確認すると乗組員は


「機関部に損傷が発生、

それも射撃ではなく斬撃による傷跡が残っています!!」


と告げる。


「つまり……いつの間にか接近を許したって事!?

何時の間に後ろに回り込まれたんだ」

「こちらがレーザー攻撃に気を取られている間に回り込まれた。

そう考える他無いだろうな……」


他の乗組員が焦って早口になる一方、

隊長は冷静に状況を分析していた。

いや、実際のところは隊長も冷静という訳ではない、

これまでとは明らかに違う防衛部隊に閾値を通り過ぎているのだ。


「機関部に損傷が発生しており、推力も半分以下まで低下しています。

このままでは……」


乗組員がそう告げた次の瞬間、

彼等が居るブリッジを光の刃が貫いた。


「これで、終わりです」


その言葉が響いたのと戦艦が爆発したのはほぼ同時であった。

更に直後、放たれていたレーザーが全て消える。

しかし消えていたのはレーザーだけでない、

直撃していた侵攻部隊の兵器も全て消失していた。


「これで……終わったんですね」


侵攻部隊の兵器が全て消えていたのを確認した、

防衛部隊の兵士は口からそっと小さく息を吐き出す。

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