第四百一話 衝撃の光景を見る時

兵士達が先に突入し、青がその後を追った通路の中は

不気味な程の静寂で満たされていた


「やはりおかしいわね、この通路。

兵士達が先行しているとはいえ何もなさすぎる」


静かな通路を進みながら、青はこう呟く。


「此処に一体何が有るというの?

防衛用兵士や兵器すらも確認出来ないこの先に……」


先に進めば進む程疑問が浮かんでくる通路を進みながら

青は内心に抱いた疑問を思考していく。

だがそれでも足を止めるわけには行かない、そう思いながら青は

先へと足を進める。


「やっと見つけられた!!」


通路を進んでいった先で青は高大声で叫ぶ兵士達の声を聞く。

その声を聞いた青はその足を早めて駆け出す。

今の声を聞き、急がなければならないと直感的に思ったのだ。


「今の声は兵士達の……だけど一体何を見つけたというの?」


内心で更に芽生えた疑問を持て余しつつも青は先に進んでいく。

そしてその奥地には先行していた兵士達が居た。


「此処で何をしているんですか?」


青は兵士達に問いかけるがその発言はどこかわざとらしい。

一方兵士は青に気付くと


「え!?どうしてここに……」


と驚いた様子を見せる。

どうやら青が後を付けていたのは気付いていなかった様だ。


「持ち場から著しく離れているのが見えたから後を追ってきたんですよ。

ちなみに既に明帝様達も皆さんがここに来ているのは承知していますから」


青は更に畳み掛けるようにこう告げ、兵士達の後ろへと視線を向ける。

すると当然、そこに居る何かが見える訳だがそれを見た瞬間青は


「えっ!?」


と困惑した表情を浮かべる。

そんな青の目に飛び込んできたのは体を縛られた獣人の子供であった。

その様子からピープルの兵士ではないというのは明らかであるが、

なぜ獣人の子供がこんな所にいるのか、当然その疑問が青には浮かんでくる。


「ど、どうして獣人の子供が……」


青がこう呟くと同時に部屋の灯が落ち、

子供が縛られている場所の裏側にある壁が崩れ落ちる。


「壁が崩れ落ちた!?一体何が起こって……」


突然の事が続き、困惑を隠せない青だが、

そんな青に更に追撃をかけるように壁から青白い光が出現する。

その光は壁から飛び出し、その場に居た獣人達に降り注ごうとする。


「つっ、考えるのは後!!今は」


その光が何か危険なものであると直感した青は獣人の子供に駆け寄り、

彼等の体を引いて光から遠ざける。

だがその光はその場から収束していこうとする。


「皆さん、その子達を連れて逃げて下さい!!」


その光を見た青はそう告げて兵士達に子供を連れて逃げるように告げる。

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