第三百六十七話 次の世界へと向かう時

「構わないけど何故兵器を?

君達の兵器も個々においてあるんでしょ」

「ええ、確かに僕達の兵器はこの施設に置いてありますが、

質と量のバランスを考える必要があるので」


口の開き方が中途半端になり、目をパチパチとさせるアデルに対し

ライトはこう理由を説明する。

それを聞いたアデルは


「まあ、それはそうだね……」


ととりあえず納得したと言う表情、言葉を見せる。


「なら後でお願いしますね、

此方は引き続き作業を行いますから」


ライトはこう告げると作業に戻る。

その体は明らかに小さな子供なのだが、外周の外壁を改修する姿は

明らかに似つかわしくはなかった。

だがその表情は笑顔であり、明らかに楽しそうである。


「なら僕はさっきのお願いを聞く為に行くね」

「ええ、完成後に又会いましょう」


こう笑顔でライトとアデルは別れ、そのままアデルが移動していく。

そしてアデルが移動した先は施設内の格納庫であった。


「おや、アデル様がどうして此処に?」

「ああ、ライト君に頼まれたんだ」


その場に居た兵士がアデルに話しかけてくると

すかさずこう返答し、先程のやり取りが説明される。


「彼等が僕達の施設の兵器を?」


それを聞いた兵士も又困惑した表情を浮かべており、

アデルも先程と同じ表情に戻る。

やはりそれだけライトのお願いは困惑させる物であったようだ。


「まあ、彼等が何も考えずにこんなお願いをしてきたとは思えない、

だから準備はしておいてくれるかな?」


アデルはこう告げると兵士は


「了解しました」


と了承しライトの要望は聞き届けられる。

最も、本人はまだその事実は知らないが。


こうしてマルティー本星においても

これからの戦いに備えた動きが進んでいく。


一方此処で話は再び地球へと戻る。

作戦の翌日、一同は謁見の間に集まっていた。


「さて、ここでセリアンとスロープは……」


高御がセリアンとスロープに対して

元の世界に戻るであろう事を進言しようとするがその直後に

通信が入ってくる。

更にその通信はスロープ達の世界からであった。


「皆さん、此方の世界にセリアンとスロープを戻して頂けませんか」


通信に出た長老は開口一番にこう伝える。


「いきなりの通信がそれであると言う事は

何かあったのですか?」

「いえ、此方にとって厄介な事が起こった訳ではありません。

ですが此方から仕掛ける予定が整ったのです」


通信機越しに長老はこう告げ、

次の作戦の準備が整った事を告げる。

それを聞いた一同の表情は明らかにハッとしたものになる。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る