第三百四十六話 作戦宙域に到着する時。

「施設からほど近い宙域に鎮座しているね……この距離だと退避が間に合わずに誤爆してしまう可能性は否定出来ないか」

「となるとこれ以上主砲を撃つよりは温存してここぞという時に撃った方が良さそうだね」

「ならこの戦艦はこのまま進撃しよう、その方が良さそうだ」


一同はその指示を受け、顔を合わせて頷くとそのまま進行していく。

一方兵士達は周囲が余裕を持っているのが不可思議なのか何処か落ち着かない様子を見せる。


「あの……アデル様……」

「どうかしたの?」

「いえ、彼等の力について疑問に思っているわけではないのですが、何故彼等はここまで作戦前に余裕を持っていられるのか、その点が不可思議でして……」

「まあそう思うのも不思議ではないと思うよ、だけどその力は本物だ。

だからきっと作戦は上手く行く」


どうやら兵士達は高御達の緊張感が足りないト思えている様だ、それを察したのかアデルは彼等の力が本物であると告げる。

そしてそのまま目的地に接近していくが一向に敵が迫ってくる気配が無い。


「さっきから敵が一向に出てこないね、他の方向に向かっているのか、それとも何らかの罠か、或いは戦力を展開出来ない事情があるのか、どれだと思う?」


高御がその場にいる全員に問いかけるが、その問いかけ方は何処か態とらしい印象がある。

それに対して明帝は


「何れの可能性も考えられますが、その中でも一番なのは三番目ではないでしょうか?」

「その根拠は?」

「もし二番目であればそもそも砲台をこんな所に設置している事自体が引っかかりますし、一番目であれば熱源反応ですぐに分かります、となると三番目で尚且その理由は砲台の防衛に全戦力を集中させているというのがその理由でしょう」


と高御と会話を続ける。

その回答は高御が求めていたと言わんばかりの模範解答であり、それも又一同に何処態とらしさを与えるのであった、だがその直後に


「さて、それじゃあ答え合わせと行こうか」


高御がそう告げると一同はその場から立ち上がり、ブリッジから何処かに移動していく。


「ええと、彼等は何処に向かっているのですか?」

「それを知りたいのであれば君達も出撃準備を整えて」

「つまり出撃するという訳ですか?」

「そうだよ、そもそもこの戦艦が今何処に居るのか分かってる?」


兵士とアデルがこう会話するが、実際アデルの言う通り戦艦はもうすぐ砲台の場所に辿り着こうとしていた。


「さて、僕達も戦場に向かうよ。

皆さんに任せっぱなしって訳には行かないかろね」


アデルがそう告げると兵士とアデルも出撃準備を行う。

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