第三百一話 赤い渦が出現する時

「ええ、ピープルがどうして我々の世界に繋がるゲートを開く事が出来たのか、又此方の世界の技術に干渉したのか、その点はまだ分かっていませんが少なくとも現状その影響は無視出来る物ではないと認識しています」

「既に此方の世界でもピープルの戦力に襲われて負傷している民間人が出ていますからね」


高御と神楽が自分達の世界におけるピープルの行動とそれによる被害を長老に告げると長老は


「既に他の世界でも狼藉を働いておるとは……」


とピープルに対して何か思う所がある様子を見せる。


「現在の所ピープルが明確に此方側に対して侵略活動を行っているという確証は無く、あくまで偶発的に此方の世界に出現しているだけではありますが僕達はこれで終わるとは思えないのです」


高御が長老に対してこう告げると長老は


「……皆さん、セリアンとスロープを此方に帰して頂いた上に助力までして頂いて大変心苦しい話ではあるのですが、そのお力、ピープルを倒す為に我々にお貸し頂けませぬか?」


と問いかけてくる。

それを聞いたスロープが


「ちょ、長老!?本気なのか?」


と困惑した声を出すと長老は


「左様だ、この状況、既に我らだけの問題ではない。

既に他の世界にもピープルの被害が出ている以上一刻も早くそれを止めねばならん。

そしてそれはこの状況になるまでピープルを抑える事が出来なかった我々にも責任がある」


と話す。

一方その言葉を聞いた高御達はやはりそう来たかと言わんばかりの表情を見せるものの、その直後に高御は


「申し出て頂いて申し訳ございませんが、直ぐに返答する訳には行きません。

僕達の世界にも驚異が迫っていますから、無論ピープルもその中の一つであるとは思っています」


と前置きをした上で


「故に一度元の世界に帰還し、他の面々とも話をした上でご返答をさせていただきたいのです」


と告げる。


「え……しかし貴方達が元の世界に戻るというのは……」


側近の兵士は少し戸惑った声を出すがその直後に高御は


「ご心配には及びません、神楽!!」

「既に準備は出来ていますよ、境界円輪」


と神楽に呼びかけ、神楽は既に準備が出来ていると言わんばかりに能力を使用する。

すると神楽達の前に赤色の渦が出現し一同はその中に飛び込んでいく。


「あ、一寸……」


セリアンが声をかけようとするがその前に一同は飛び込み、直ぐに赤い渦は閉じてしまう。


「一体彼等は何者なんだ……あの力は……」


そう長老が呟いた次の瞬間、謁見の間の天井に先程の渦と同じ赤色の四角い何かが出現する。

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