第二百九十九話 二人の故郷に向かう時

「と言う事はつまり、高御さんは初めから指揮官を叩くつもりで行動されていたという訳ですか?」

「ああ、数の上では此方が不利だからね、押し込まれた結果防衛に失敗してしまう可能性は十分考えられた。

だからそれを防ぐ為にも早急に頭を叩く必要があると感じたんだ」


セリアンのさらなる質問に対し高御はこう返答し、最初から指揮官を狙って叩くつもりであった事を告げる。


「場所は分かっていたからね、それに他の戦場も押し込んで居る様だし、此処に残っている理由は無いよ」


高御がこう告げるとセリアンとスロープは周辺を見渡し、そこに敵が残っていない事を確認すると高御と顔を見合わせ、少し恥ずかしげな笑顔を浮かべるとその場を後にしていく。

そして平原の各地に散っていた戦場の部隊も徐々に高御達が押し込んでいくのをその途中で明言しそれを聞いたセリアンとスロープは笑顔を浮かべる。

そのまま二人は高御の先を行き、長老と呼ばれた獣人の元へと向かっていく。


「皆は既に戻っているみたいだ」


高御がこう告げると同時に三人は視線を前にやり、そこに向かって移動していく。

そして長老の元に辿り着くと


「おお……良く無事に帰ってきた、それに異世界の皆様もご無事で」

「ええ、無事に生還しましたよ。

それもしっかりと勝利を収めてね」

「それでも皆さんが助力してくれたという事は大きな助けとなってくれました、ですがそもそも……」

「そのお話をする前に拠点に向かいませんか?此処では落ち着いてお話出来ません」


と高御と長老、そして長老の側近らしき存在が口を挟み、拠点に向かう事を提案する。


「その方が良いでしょうね、それに僕達も拠点、そして彼等の故郷に一度向かいたいのです」

「協力してくれましたし、高御さん達が信頼に値する存在なのは私とスロープが保証します。

万が一の時はこの……」

「分かった、それ以上はよい。

恩師を何時までも立たせておくのも失礼に値するからな」


この場で行われた会話により、一同の方針が彼等の拠点、或いは故郷と呼ばれる場所で話の続きは行う事を決める。

その言葉を終えた後、その場に居た面々は移動を開始する。

そこから暫く歩くと


「さて、此方になります」


と長老の側近らしき獣人が呼びかけ、高御達に目の前の風景を見せる。

するとそこには広大とまでは言えないものの、穏やかな雰囲気の街がが広がっていたが、その周辺にその雰囲気に似つかわしくない城壁の様な物で囲われていた。


「此処が……俺達の故郷だ」


スロープは高御に対し、こう明確に発言する。

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