第二百九十五話 さらなる異形が出現する時

そして押し返された妖術はそのまま放ってきたピープルに直撃し大ダメージを与える。


「妖術を防いだばかりかそれを跳ね返して攻撃に転用するとは……一体彼女は何者なのでしょうか?」


その力と強さに感心しつつもその能力を訝しみ、疑問を抱く。

しかしその一方でその事ばかりに気を取られている訳にも行かず、異形に接近していく。


「彼女と連携を取りつつピープルの兵士を討て!!」

「しかし、初めて会う相手と連携等取れる物なのですか?」

「いや、最悪我々と同士討ちにならなければいい!!

あの存在がいる方角への攻撃は可能な限り控えろ」


部隊の指揮官らしき獣人がそう叫ぶと他の獣人も首を縦に振って頷き、ピープルの兵士に対して攻撃態勢を取っていく。

ミスティの加勢により、戦場の勢いは徐々に獣人側に流れているのは疑い様が無かった。


「さて、この勢いのまま行ければいいのだけど……」

「なにか不安になる物言いですね……まだ何か隠し玉が来ると?」


ミスティが不安になる一言を告げると部隊司令官はその不安げな言葉が引っかかったのか反応を見せる。

その言葉が当たってしまったのか、或いはそれを見越していたのかさらなる異形が出現する。

その外見を見たミスティは


「あのピープル、今まで見た事のない個体ね。

しかもそれが数体……どうやら既に実戦投入がなされているようだけど」


と冷静に状況を分析するが周囲の獣人達は明らかに動揺した顔をしていた。


「あれは……他の前線で此方の部隊を劣勢に追い込んだピープル……しかもアレだけの数が投入されているなんて……」


その声から獣人達はこのピープルについて把握しており、尚且驚異と感じている様だ。


「皆さんはあの異形について何かご存知なのですか?」

「ご存知も何も……あのピープルは我々反抗軍に対して幾度となく煮え湯を飲ませてきた存在です、それも複数が一度に投入されるなんて今までの経験では……」


ミスティが異形について獣人に聞くと獣人は明らかに動揺した、或いは怯えた声を上げながらこう話す。

その声に対してミスティは


「なるほど、それが投入されているという事は敵もそれだけ必死という訳ね。

そしてそれを叩く事が出来れば敵の戦力を大きく削ぐ事が出来る」


とどこか余裕がある返答を行う。


「それはそうだとは思いますが、私達でそれを行うのは……」

「では、私がそれを実行しましょう」


獣人達が不安、自信なさげと言った声をそれぞれ口にするがミスティは自信有りげにこう返答する。

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