第二百九十二話 神楽が加勢する時

一方その頃神楽は平原内の別のエリアに向かっていた。

それは先程自分達が上から見下ろしていた丘の方向であり、そこで交戦している獣人達が居るのを覚えていた為だ。


「さっきはセリアンとスロープを追跡するので精一杯だったけど確かこっちにも交戦している獣人達が居た筈!!

そうだとしたら此方に……」


そのまま神楽が走っていくと先程見たという獣人達がピープルと交戦していた。


「やっぱり居た!!それにあの数……くっ、先程救助に入っておいた方が良かったかも知れないね」


神楽は少々の悔恨を含めた表情を浮かべるとその直後に


「その失態は今挽回する!!闇の貫通」


と叫び、両手を翳してその先から黒い矢を立て続けに放ち、ピープルの異形を次々と射抜いて蜂の巣にしていく。

その光景を見た獣人達があっけにとられていると神楽はそこに接近し


「皆さん、只今よりこの戦場に介入、援護します!!」


と言ってそのまま合流する。

だが獣人は


「援護と言いますが、いきなり何を……貴方は一体?」


と当然とも言える疑問を口にする。


「その疑問は最もだと思いますが今その事を話している時間はございません、次の敵がすぐに接近してきています!!」


獣人の疑問に対し神楽がそう応えると確かにその言葉通りピープルの異形が接近してくる。


「確かに接近してきていますね……後できちんと説明してくれるのなら構いませんよ」


と言うと目の前に魔術用の紋章を出現させ、一斉に異形に対して魔術を放つ。

それは光のビームの様な物であり、異形に直撃すると爆発を起こす。


『やったのですか?」


神楽がそう告げると同時に魔術が直撃した場所を確認すると接近してきた異形の姿は既に消し飛んでいた。


「ええ、先程の魔術が直撃したのであれば消滅している筈です。

私達は魔術に関しては強いのです、ですが……」

「接近されると弱い……ですか?」

「はい、その通りです」


神楽に対して先程使用した魔術の説明を行う獣人達の声からその弱点を察したのか、神楽はこう発言する。

それに対して獣人はそれが正解であると告げる。


「分かりました、では皆さんは魔術による攻撃に専念して下さい。

接近してくるピープルは私が抑えます!!」


神楽はそう告げると獣人達をその場に残し、ピープルの異形が接近してくる方角へと向かっていく。


「恐らく敵はその事を知った上で部隊を送ってきている……だとするとこう動けば不意を付ける筈!!」


神楽は内心でこう思考し、接近してくる異形に対して交戦体制を取る。

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