第二百二十三話 初陣を迎える時

「いえ……それは……」

「高御さん達も内心不安に思っている部分はあると思う、だけど何時までも実践を避け続ける訳には行かない、だからこそ送り出すんだ。

それを僕達が不安にしてどうする?」


アデルの諭しは少々苛立っている様にも見えた、ライアンとスロープに対する発言に対しての一件といいこの所兵士の失言が目立っている事に苛立ちを感じている、或いは危機感を覚えているのかも知れない。


「まあ、アデル様の仰る事も最もですね……」


アデルに諭された故なのか、兵士は言葉を閉じて引き下がる。

それを確認したかのように瑠璃花は


「さて、そろそろ出撃した方が良さそうですね、既に米国から迎撃部隊が向かっていますし」


と確認する様に画面を指差す。

するとそこには瑠璃花の言う通り、既に米国からの迎撃部隊と思わしき戦力が出撃していた。


「ああ、遅刻して大惨事になる等初歩的過ぎる大問題だからね」


高御がそう言うと瑠璃花達七人は首を縦に振って頷き、その場から駆け出していく。

それを見たアデルは


「さあ、僕達も行くよ!!」


と返答してその後を追っていく。


「さて、次は星間連合がどう動いてくるか……」

「連中がピープルの事を把握しているのか居ないのか、その点がまず気掛かりですね。

万が一ピープルと星間連合が同盟を結びでもしたら非常に面倒な事になります」

「その可能性は否定出来ないね、何しろ先日のピープルの出現が仮に悪意を持っての意図であったとしたら……」

「この世界への侵攻と言う共通項が出来るからな、そこから繋がっていくと言う事態が発生しないとは言い切れねえ」


出撃メンバーを送り出した後、高御達はこう会話を続ける。

神楽やクウォスも加わり、この星間連合とピープルが何らかの形で繋がる懸念を表明しているのだ。

一方出撃口に集結した先程の面々はそれぞれが用意された移動艇に乗り込む。


「あれ?アデルさん達も私達と同じ戦艦で出撃するのですか?」

「ああ、戦艦の数が増えると相手の規模次第では却って的を増やしてしまいますからね。

纏められる所は纏める、これが効率的に動くという事では?」


自分達と同じ出撃艇に乗り込もうとするアデル達を見て瑠璃花が思わず問いかけるとアデルはこう明確に返答する。

すると楽理が


「そうですね、それに俺達の戦艦からアデルさんが出撃すれば既に協力体制を整えたと言う事で星間連合の精神に動揺を与える事が出来るかも知れない」


とその行動に一定の効果がある事を肯定する。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る