第二百七話 質問に返答する時

「そうだね、それが一番いいかも知れない」


七宝の提案を受け、高御達は七宝の部屋へと移動していく。

そして部屋に辿り着くとアデルは


「神楽さん達に先程の部屋にあった水晶から授かった力があるというのは既に聞いています。

ですが先程のあの獣人達と交戦した時に高御さんとミスティさんが使用した力は明らかにそれらとは違う印象が受けました。

いえ、神楽さんの例を考えると違うというのでは無いのかも知れません、ですが……」


と少し要領を得ない言葉で問いかけ始める。

恐らく彼の内心でまだ整理がついていないのだろう、それを察したのかミスティは


「アデル君の予測通りよ、私と高御にもあの水晶から得た力がある。

それも神楽達のそれを総合的且つ上回った形でね」


と明確な回答を返す。

それを聞いた側近の兵士は


「つまり……どういう事です?」


と首を傾げる。

一方でアデルは


「つまり、高御さんとミスティさんは神楽さん達全員の力を併せ持ち、且つ超えていると言う事ですか?」


とある程度は理解したという様な声と表情を出す。

それに対して高御は


「基本的にはその認識で構わない。

僕達も完全に把握している訳ではないからね」


と返答するが、その内容は自分達も全てを理解しているわけではないという質問を行ったアデルとしては少々物足りない、或いは不安になる返答であった。


「高御さん達も全てを把握している訳ではない……」

「つまり、あの水晶についてはまだまだ不明瞭な部分も多いという訳でしょうか?」


兵士とアデルが続けてこう発言すると高御は


「ええ、僕達の力はまだまだ分かっていない部分も多い」


と返答する。


「その様な力を使用していて大丈夫なのですか?」


兵士はこう問いかけるがアデルは


「いや、そんな力だからこそ使わなければならない、そうじゃないんですか?」


と問いかける。


「その通りだよ、そして僕達がさっきの戦いで使ったのは神楽と同じ力だ。

あの獣人達の内心を鎮める力を創造して使ったんだ」


高御がこう説明するとアデルは納得した表情を浮かべるが兵士はまだ良く分かっていないと言った表情を浮かべていた。


「つまり、高御さんとミスティさんの力は神楽さん達の力を統合し、尚且それを上回っている、又は高御さんとミスティさんの力をベースに分配された力を使っているということでしょうか?」


アデルがこう返答すると高御は


「少なくとも現時点では僕達もそう解釈しているよ」


と返答する。

その表情は真剣であり、虚言では無い事が伺える。

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