第百九十六話 アデルの決意を聞き入れる時

その言葉の直後通信を切り、神楽と七宝は直様転移通路を行おうとする、だがその直後にアデルが


「皆さん、唐突なお願いで申し訳ないのですが自分も同行させて頂いて宜しいでしょうか?」


と発言する。

その言葉に驚いたのかクウォスが振り向いたのを皮切りにその場に居る全員がアデルの顔を見つめる。

その表情は真剣であり、冗談で言っているのでは無い事が伺える。


「アデル様!?突然何を……」

「星間連合が新技術を用いてきたにしろそれとは違う勢力であるにしろこれは僕達も無関係ではありません、そうであれば僕も調べるべきだと思ったのです」


兵士も困惑を隠せないがアデルはこう真剣な表情で語り真摯な目で見つめる。


「君達はあくまで協力者であり配下と言う訳ではないから僕達が命令を下す事は出来ない。

だがそれは……」

「分かっています、自衛はきっちりと行います。

決して足手まといにはなりません!!」


アデルの決意を聞いた高御がその身を案じつつも現在の自分達の関係性に基づいた発言を行う。

それを聞いたアデルは強い口調でこう言い切り、自身の決意が硬い事、そして覚悟を決めている事を告げる。


「分かった、そこまで言うなら僕は何も言わない。

最終的な決断を下すのは君なのだから」

「高御がそう言うなら私も」


高御とミスティがこう告げるとアデルは強い表情を若干和らげる。

その変化は決して安堵したというわけではない、だが何処か嬉しさも感じさせる表情であった。

高御とミスティの表情と口調も決して匙を投げた訳ではない、アデルを信頼している事が伺える口調と表情を見せていたのだ。


「では、我々もアデル様と共に……」

「否、君達は此処に残ってESBの皆さんと協力し今回の一件の調査を行って」


アデルが行くのであれば我々も同様にと言わんばかりに兵士も同行しようとするがアデルは同行の申し出を断りESBに協力する様に告げる。


「えっ!?アデル様、しかし……」

「今回の敵が何者か分からない以上全員で行って全滅するのは避けないといけない。

それにこれは場合によっては本星の皆の驚異になる可能性だってあるんだ、その伝達を行う為にも君達には此処に残って調査して欲しい」


兵士は尚も食い下がろうとするがアデルは自身の思いの丈を話す。

それを聞いた兵士は


「……分かりました、どうかお気を付けて」


とアデルの言葉を受けて引き下がる。

それを確認すると神楽は


「なら急ぐよ、何か起こってからでは遅いんだから!!」


と良い、アデルに転移通路に来る様に呼びかける。

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