第百九十三話 戦力増強の先を推測する時
「……分かりました、量産の許可は頂けたと言う事にしておきます」
「ええ、何時次の戦いが始まるか分からない以上、各々の戦力を整えましょう」
「では、私達も此方にて失礼します」
各国首脳と高御はこう告げて通信を切る。
「良いの?私達の技術を解析して量産させて?」
「ええ、その技術次第では地球の戦力が……」
その直後にミスティとアデルが高御に問いかける。
だがその顔はアデルは心配そうな表情を浮かべているのに対しミスティは心配ではなく質問、あるいは何処か各国首脳の言葉を望んで居る様にも思える。
「問題は無いですよ、彼等に提供した兵器や武装は此方からすると型落ち品、それを解析して量産しても僕達に対して反旗を翻す程の代物を作り出すのはそう簡単には行かない。
一方で技術が解析される事は兵器以外の分野に活用される可能性もあり、それは寧ろ望ましい話だよ」
アデルの表情に対しての返答なのか、技術、兵器を担当している神楽はこう明確に返答する。
「技術が解析される事で兵器以外の分野に活用される?つまりそれは……」
「そう、私達の技術で地球、世界が更なる発展をしていくかも知れないと言う事だよ。
もし可能であれば君達マルティーの技術や星間連合の技術も加えて発展させていきたいと思ってる」
「そうした形の交流が初めから出来ていればどれだけ嬉しい事か……」
アデルの側近の兵士が神楽に次の質問を行うと神楽は明快な回答を行い、それに対する神楽の返答に対しアデルは少し苦悩した表情を浮かべながらこう呟く。
するとエリーが
「星間連合の上層部を討ったらそれから行えばいいのよ。
幸か不幸かまだ地球の人達には星間連合の事情は粗知られていない、アデル君達が星間連合の上層部を倒した事が伝われば遺恨無く交流ができるかも知れないわ」
とその心境を察した発言を行う。
それを聞いたアデルは言葉にこそ出さなかったものの少し微笑みを浮かべ、その言葉が嬉しいと言った雰囲気を出す。
「さて、地球の皆さんにあれだけの発言をした以上僕達が戦力の増強を怠る訳には行かないよ。
神楽、次の戦力を整えるまでの時間はどの位掛かる?」
「現在も進めている所です、近々ロールアウト予定の新型機も準備しています」
「それは分かったが誰が乗るかについても選定は進んでいるのか?」
「心配ご無用、既に搭乗者も決めているよ、ただ、一つ不安要素として異形の調査との兼ね合いがあるんだけどね」
「異形の調査との兼ね合い?」
高御の発言をきっかけに戦力増強についての話が始まるが、神楽の唐突な異形発言にパウが思わず疑問を投げかける。
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