平行世界が交わる時、それぞれの世界は何処へ向かう？

第百六十九話 異形を撃退する時

「あ、ああ……ああっ！！」

民間人の男性はそう怯えた声をあげながらも異形に対して拳銃を向け、その引き金を引く。

その中からはパンと言う大きな音が聞こえ、それを受けた異形は遠くに跳ね飛ばされ、明らかに大きなダメージを受けているのが目に見える。

「こ、これは……それに今俺は……」

発泡した男性は明らかに動揺した表情と言葉を浮かべる。

「う、撃ったのか……一体俺は……」

明らかに動揺し続けている男性に対し友香と亜矢は民間人と職員に接近して

「皆さん、動揺するのは後です！！あの異形達がまだ倒れた訳ではないんです」

「あの異形達は僕達が引き受けます、皆さんは早く避難して下さい！！」

と職員と夫婦に対して呼びかける。

その呼びかけを聞いた夫婦と職員は

「は、はい……私が案内します」

「あなた……行きましょう」

「あ、ああ……これが現実なんだな……」

夫婦は職員の案内の元、その場から避難していく。

それを確認した友香と亜矢は

「これであの夫婦と職員は避難出来た……そしてそろそろ作動する筈よ」

「ええ、後は私達が確実に奴等を仕留めれば！！」

と声を合わせて視線を異形の方に向けると同時に先程仕掛けた何らかの装置が作動する。

するとその装置から何らかの膜が出現し、近くに開いていたワープゲートを飲み込んで行き、そのゲートに異常を発生させて閉ざしていく。

「よし、ゲートが閉じたよ！！」

「神楽様の新機器、初めて使ったと言う事だけど効果はしっかりと出ているわね」

「これで胸を張って報告出来そうだよ」

二人はそう告げると異形に対して武装を改めて向ける。

それに反応したのか異形も直様二人に対して飛びかかってくるが二人はそれを躱すと亜矢は接近してきた異形の喉元にナイフを突き立て、友香はそれとは違う異形に対して銃弾を撃って異形を仕留める。

「これで異形は全滅だね、それにワープゲートを閉ざしたから次の増援が来る事も無い」

亜矢がそう告げると同時に周囲を見渡すと確かに異形は全滅しており、その姿形は見えない。

「さて、本部に戻る前に避難した人達の所に行ってみましょうか」

「そうだね、武器を初めて使った事による動揺も心配だしね」

友香と亜矢はこう会話をすると公園から外に出て近くに表示されていた避難所へと向かう。

そして避難所に着くとそこには先程避難した職員と夫婦が居た。

他に人が居ない所を見るとどうやら先程の異形に気付いたのは彼等だけの様だ。

「お二方……あの異形は？」

「無事に撃退しました」

質問してきた職員に対して亜矢と友香は胸を張って撃退した事を告げる。