第百六十七話 日本の現状が映る時
「あ……」
自分が失言した事を今更察したのかニーナの顔が引きつったものになる。
そしてそれを傍で見ていた達も
「多分俺も怒られるんだろうな……しかも側で止めなかったから割増で」
とため息を付きながら沈んだ表情を見せるのであった。
「ある意味戻るのに覚悟が必要になったわね……」
エリーがそう呟いた後、帰還後に待ち受けるであろう説教の事を思いながら二人はあるき始めるのであった。
一方その頃日本でも同じ様に物資武装の配布が始まっていた。
然しそこに集まっていた人々の表情は他の国と比べると明らかに動揺が強く出ていた。
「此方が配布された食料、そして武装となります。
必ず説明書に目を通して下さいね」
「はい……分かりました」
職員らしき男性から物資と武装を受け取った夫婦が居たがその表情は明らかに他の国の人々とは異なっていた。
「あの……食料は分かりますがこの武装も持たなければ駄目なのですか?」
夫婦の女性がそう問いかけると職員は
「ええ、今戦っている相手は異なる星の存在です。
文源では我々を守る事は出来ません、それに何時までも彼等に頼りっぱなしという訳にはいかないのです」
「それは……そうなのかも知れませんが……」
「何も貴方達に最前線に立てといっていると言う訳ではないのです、万が一身近に敵に迫られた際に最低限の抵抗を出来る様にする、それだけの事です」
と会話を続け何とか夫婦を説得しようとするものの、その表情は職員自身も不安を抱いている事を察するには十分過ぎる内容であった。
「確かに不安だとは思いますが、だからこそ今出来る事をする事が必要なのでは?」
そこに突然少年と少女が現れ、職員と夫婦に対して諭す様な口調で話しかけてくる。
「確かにそうかも知れませんが、君達は一体何者なんです?」
突如として現れた少年少女が正論を言うという状況に納得がいかなかったのか、それとも突然話しかけられた事に動揺したのか夫婦は反感を隠さない発言をしてくる。
するとその少女は
「私達?私達は……」
と自己紹介を始めようとするがその時隣りに居た少年の腰元から何かの音が鳴り始める。
「音!?一体何が……」
職員が動揺した口調で話すと少年と少女は表情を変えて周囲を見渡し始める。
「亜矢、どの辺りから反応を検知してる?」
「友香、もう少しだけ待って……この周辺、いや直ぐ近くから来るよ!!」
亜矢と友香と名を呼び合った少年少女はこう告げると配布している場所の周辺にある公園に目を向ける。
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