第百二十三話 相手が苛立つ時
「どういう関係とは?只迷子として探しているだけですが?」
質問に対してミスティはこう返答する。
だがその返答の様子は何処か惚けている様にも思える風だった。
その返答に対して兵士は
「そのアデルという子はどの様な子なのかと聞いているんです?
外見や身長、特徴的な部分を教えて頂けなければ情報のお伝えしようがありません」
と答えるがそれに対しミスティは
「あら?そうした事は最初に聞くべきではないのですか?
何故こんな所に連れてきて聞くのですか?」
と更に問いかける。
それは真っ当な質問の様にも思えるが何処か考えている様にも思える。
「なぜ此処に連れてきて聞くのか……ですか?それは此処に仲間が居るので纏めてお話を聞いた方が早いかと思いまして……」
「そうだとしても人を釣れていくという連絡くらいは予め入れておくべきではないのですか?元に此処に今誰も居ないではないですか」
その人物のたどたどしい言い訳に対しミスティが更に返答するとその人物は
「……ならこれでどうですか!!」
と少し逆ギレしている様な印象で返答すると同時に周囲からその人物が言う仲間と思われる人物が次々と姿を現す。
「あら、十名程の人数がおられたのですね。
一体何処に隠れておられたのですか?何故初めから姿を表して居なかったのですか?」
ミスティが姿を隠していた理由を問い質すとその人物達は
「さあ、そろそろそのアデルという子の情報を提供して頂けませんか?これだけの人数が居るのですから捜索は捗るでしょう?」
と強い口調でミスティに迫ってくる。
「確かに創作しているとは言いましたけど、いきなり連れてきたり隠れている人達に重要な情報を教える訳には行きませんね」
ミスティが人物達にこう発言すると人物達は
「私達の素性が分からないというのは初めから分かっていた事では無いのですか?いきなり声を掛けてきたのですから……それなのに私達には素性を明かせと?」
と反論してくる。
それに対しミスティは
「まあ、それもそうなのだけど、そう思うのであれば初めからお話を聞かなければ良いだけの話でしょう?にも関わらず私の話を聞き此処に連れてきたのは私の話に何か引っかかる部分があったからでは無いのですか?」
と更に反論しそれを聞いた人物達は
「……そろそろ教えて頂けませんか?そうでなければ……」
と明らかに苛立った様子でミスティに詰め寄ってくる、それに対してミスティは
「そうでなければ力尽くで聞き出す?随分乱暴なんですね」
と飄々とした態度を崩さずに発言する。
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