第百四話 力を説明する時

「成程、だから僕達が追撃を受けていた時もあれだけ迅速な対応、行動が出来た訳なのですね。

あの一瞬で全てを思考するとは」


アデルが何処か感心した様子を見せると続けて七宝が


「あたしは分析とハッキング、機械の詳細を素早く分析してデータ、情報を送るのが能力ね。

そういう意味ではエリーとは対となっている能力と言えるかも知れない」


と話し、それを聞いた兵士の一人が


「エリーさんと対となる能力?」


と問いかけるとアデルは


「エリーさんが生命の心に関係する能力であれば七宝さんは機械、物に関係する能力であり、その辺りが対になっているって事を言いたいんだと思う。

心が無い機械に心を読む力をぶつけても物ではない生命に分析とハッキングの力をぶつけても仕方ないからね」


と兵士に対して自身の考えを述べ、それに対してエリーと七宝は


「ええ、その通りよ。

私達自身もそう考えているわ」


と声を揃えて話す。

続いて


「俺の能力は身体能力の強化だ、肉弾戦なら誰にも負けねえ自信ってもんが有るぜ!!まあ、高御さまやミスティ様は……だが」


と若干竜頭蛇尾な雰囲気は出しているものの、大声でそう話したのはクウォスであった。


「まあ、確かにそんな雰囲気はありますね。

何処か喧嘩っ早いと言うか屈強と言うか……」


兵士の一人が納得した様な雰囲気の声を出すとアデルは


「こら!!そういう事を直球で言うんじゃない!!」


とその兵士を諭す。


「はは、まあそう思うよな……」


兵士の発言を聞いたクウォスは苦笑するが、その顔に何処か複雑な部分が見えた事をアデルは見逃さなかった。


「次は私ね、私の力は自然操作、例えばこんな風にね」


最後になったパウが手を翳すとその目の前に暴風が巻き起こり、その場に立っていられない程の状態になる。


「つっ、この風は……」


兵士の一人が両手を顔の前に翳しながらこう発言するとパウは


「ええ、私の力で起こしている物、中々に強烈でしょう?」


と少し勿体ぶっているような口調で話す。

まだ何かを隠しているのだろうか?

だがここでアデルが


「それは分かりましたが、此処で一つお聞かせ頂けますか?」


とパウの顔を見て質問する。

その様子からパウ個人に対する質問なのだろう、パウは


「ええ、答えられるか否かは分からないけどね」


と前置きしつつも質問に答える姿勢を見せる。

するとアデルは


「今の力からすると恐らく風だけではなく、他の現象も引き起こせるのでしょうけど、それは兵器に搭乗しながらでも使えるものなのですか?」


と問いかける。

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