第九十五話 巨大施設に向かう時

「それよりも……どうかしたの?」


神楽がアデルに問いかけるとアデルは


「いえ、僕達マルティーの技術と貴方達の技術を融合させる手段が何かある様ですがそれが何なのかが気になっていまして」


と明らかに疑問を抱いている声と顔で問いかけてくる。

それに対して神楽は


「そうだね、それを証明しないと納得は出来ないよね。

まずは付いてきてくれるかな?」


とアデルに告げ、他の面々も首を縦に振って頷くがエリーが


「その前に少しだけ時間をくれない?あの兵士から得た情報によるとどうやら末端の末端でしかないのだけど、それでも皇子が逃走している事は把握しているわ。

故にマルティー本星の状況を想像すると既に厄介な事になっているかも知れない」

「つまり、場合によってはマルティー本星の制圧が完了し、より大きな部隊を送り込んでくる可能性もあるって事か……

その点も警戒しておく必要があるって事か」

「ええ、戦力の増強にあまり時間をかけられないのはその点も考慮しての事になるわ、先にマルティー星の部隊が一丸になって侵攻してくるなんて事になれば流石に流暢に構えていられませんから」


エリーの発言で時間が無い事を改めて知ったものの、その直後に神楽が


「ならそれに備える為にも今すぐアデル君の疑問に応えないとね」


と少し笑みを浮かべながら部屋の入り口に向かっていく。

その最後尾に付いていくアデル達、その行く先は施設の外に出ていった先にあった。


「今から彼処に向かいますよ」


神楽がそう言って指差した先はその先にある今まで居た施設よりも更に大型の施設であった。


「あの施設は?」


アデルが質問すると高御が


「僕達の兵器の開発施設、そして試験会場だよ」


とアデルに説明しそれを聞いたアデルは納得した表情を浮かべる。

どうやら兵器の開発や試験に大型の施設を必要としていると言う事は彼も把握している様だ。


「さて、あの施設の方に向かって行きますよ。

付いて来られないって事は無いですよね?」

「皇族だからといって甘やかされてきた訳ではありません、いえ、寧ろ結構鍛えられている方だと思いますよ」

「思いますよって言うのは少々主観的な印象もあるけど……その声の強さはどうやらハッタリと言う訳では無さそうだね」


アデルの声の強さを感じたのか、神楽はそのまま施設に向かっていく。

そして施設の入り口に到着するとその中に一同を案内していく。

神楽が先導するとアデルは先程の言葉に対して少々反発気味な表情ではあるものの、笑顔を絶やさないまま付いていく。

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