第七十話 画面を見守る時

その様子を上から見ていた高御は


「やれやれ、どうやら僕達の予想を遥かに上回るレベルで混乱が発生しているようだね、こんな得体の知れない集団の交渉をあっさり受けるなんて」


と嬉しさと呆れが同居した様な表情と声で呟く。

それを聞いていたミスティも


「ええ、しかも只一国ではなく今回私達が閉ざしている国全てが同様の選択をしているのですから」


と高御の呟きに同調する。


「ですがその御蔭で此方としては行動を起こし易かったですね、此方の交渉の舞台に引き摺り出す事が出来たのですから」

「ふふ、当日が楽しみですね」


その場に居た明帝と神楽は何処か嬉しそうな笑顔を浮かべていた。


「ああ、その日まで此方も準備を整えておこうか」


高御はその場をそう言って閉めるとその部屋から一同と外に出て行き、それぞれ自分の部屋に戻っていく。

そのまま神楽が部屋に戻ると部屋のモニターの電源をつける。

するとその先には小さな子供達が大勢映っていた。

その子供達は遊んでいる子もいれば何かの訓練らしき行動を取っている子供もおり、又その中では眠っている子も居た。

その子達を見た神楽は


「ふふ、今日も皆十人十色、三者三様だね」


と何処か嬉しそうな声で呟く。

するとその後ろから


「あら、又彼、彼女達の観察?

まあ、見守るのは私も好きだけど」


というエリーの声が聞こえてくる。


「その声はエリーだね、又何時の間にそこに立っていたの?」

「ええ、彼、彼女達は私達の大切な存在だもの。

一人で見守りを抜け駆けするのはずるいわよ」

「その口振りだとやっぱり把握していたみたいだね」

「ええ、貴方が一人でこっそり画面を見ている事は、まあ、私相手に隠し事が出来ると思っている訳ではないでしょうけど」

「まあ、一人で見ているとは言っても別に隠しているつもりは無いよ、彼等が僕達に取って大切な存在なのは事実なのだから」


神楽とエリーがそう呟いた直後、中にいる子供達が色々と別の行動を取り始める。

その行動を見始めた神楽とエリーは何処か微笑ましい笑顔を浮かべる。


「それにしても、これからどうなっていくと思う?彼等に新たな面々が加わるのか、それとも……」

「どうなって行くっていうのは成り行き任せの物言いだよ、そうじゃない。

どうして行くかが重要なんだ」

「そうね、私とした事が少し他力本願になって居たわね。

まあ、なにはともあれまずは各国首脳との交渉ね、その結果次第でどう動くかも変わってくるもの」


神楽とエリーは画面を見て微笑みつつもこれからを考えている様子を見せる。

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