第二十二話 見つけ出す時
「え!?そんな事が……」
「仮に出来たのであれば向こうに此方と同じ技術があるのは確定だ、そうだとすれば……」
「ええ、既に向こうもマルティーの技術を手にしている、そう考えざるを得ません」
マルティー人の提案に神楽の母は動揺するが、父はその申し出を受けたのが相手が同じ技術を手にしているかどうかを判断する為であると見抜く。
「そうね……そう考えれば確かにその通りだわ」
従って相手の言いなりになるつもりは無いという事であると察したのか、神楽の母は動揺を落ち着かせる。
「宜しいでしょう、では私達がそちらに通信を繋ぎます。
そちらはそれを傍受し対応して頂きたい」
守護転輪からの返答はその申し出を受けるというものであった、それを聴いたマルティー人の代表者は
「受けて下さるという事ですか、では此方も応じないといけませんね」
と通信を受ける事を承諾する。
その直後、確かに通信が入り、ブリッジの応対者が対応すると目の前の画面に守護転輪の戦艦内部と思わしき映像が表示される。
「此方の通信に応じてきた……となるとやはり、マルティーの技術は既に向こうも手にしているのか……」
神楽の父がそう内心で思うと同時に守護転輪の戦艦の乗組員は
「さあ、通信に応対しましたよ。
そちらの航行理由をお聞かせ頂けますか?」
戦艦の長らしき男性がマルティー人に対し告げるとマルティー人は
「此方の航空理由、それは……」
と奥歯に物が詰まった様な物言いになる。
正式な理由が言えないのは当然であるがそれ以上にこの状況を切り抜けるにはどうすれば良いのか、その点を一同は思案していた。
だがその直後に事態は動く。
マルティー人の戦艦に乗り込んでいた日本人サミット参加者の一人が
「あ、ああっ!!」
と大きな声を上げたのである。
「どうかしたのですか?」
守護転輪の戦艦の艦長がその大声に対して反応するがその人物は
「皆さん、この男性の後ろに居る人物を見て下さい!!」
と言って艦長を完全にスルーしてその背後を見る様に告げる。
「え!?一体何が……これは!?」
困惑しながらもその画面を見た神楽の母はそこに映っていた存在に再び困惑する。
艦長の背後に映っていたのは紛れもない件の問題の手掛かりとなると考えられていた巫女装束の人物であったのだ。
「あの人物が向こう側の戦艦に乗っているだと!?
一体これはどういう事だ!?」
余りに急な出来事であった為か、マルティー人側の乗組員は困惑を隠せない様子だ、だが最初に発見した人物は
「ふ、ふふふ、漸くこれで……」
と何処か可笑しな雰囲気で笑い始める。
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