第二十一話 光の奥から来る時
「漸く光の奥に入る事が出来たか……だが、本番は」
「ええ、ここからでしょうね。
このまま何事も無く進めれば良いのだけど」
光を超える事は出来たものの、神楽の両親の表情から懸念が消えた訳ではない、いや寧ろその懸念は更に強まっているとすら言えるのかも知れない。
そしてそれが的中してしまったのか、ブリッジの乗組員の一人が
「皆さん、前方より大型の熱源反応を感知しました。
恐らくは此方と同じ戦艦クラスかと」
と告げる。
「断絶された奥から現れる戦艦か……残念ですが余り良い展開は期待出来ませんね。
恐らくは……」
マルティー人の代表者がそう呟くと同時にその戦艦は姿を表す。
それは予想通り、マルティー人が使用している戦艦と同様、明らかに戦闘用の大型戦艦であった。
その大きさはマルティー人が持ち込んだ戦艦と遜色無い、いや、寧ろそれよりも大型ではないかとすら思える。
「どうするのです?あの戦艦が何者なのか……」
神楽の母がこうマルティー人に告げるとマルティー人は
「今の所向こうの出方が分かりません、なので今は一旦……」
と言いかけるがそれを遮る様に
「此方は日本国所属の防衛部隊、守護転輪である。
旗艦は現在我が方の領域に対し無断で航行している、その所属と航行の目的を伝達されたし」
と言う通信が入ってくる。
「日本所属の防衛部隊!?それが何故あんな戦艦を用いて此方に……それに領域を無断でって……」
日本所属という言葉に動揺したのか、神楽の母は戸惑いを隠せない様子を見せる。
その言葉に続けて守護転輪側から更に
「此方からの要求に応じられない場合、当方には防衛の為に旗艦と交戦する権限も与えられている、もし旗艦が我が国に対して接近する正当な理由を有しているのであれば速やかにそれを証明されたし」
と言葉を続ける。
「どうなっているんだ……既に日本はマルティー人の反乱分子に押さえられているというのか?」
神楽の父も動揺を隠しきれないのかそう告げるが、事態はそう簡単ではない。
マルティー人側にも想定していないという事が伺える表情が見えたからである。
「返答無き戦艦を通す訳には参りません、理由を有していないのであれば速やかに反転して頂きたい」
守護転輪が更に詰め寄ってくるとマルティー人は
「ここは敢えて相手に乗るしか無い様ですね……」
と告げる。
だがその直後マルティー人は
「そちらの要求を飲みましょう、ですがその前にそちらのお姿を拝見させて頂けませんか?此方側にも映像通信の機能は備わっています」
と守護転輪に対して返答する。
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