True World Odyssey

teru

第1話 アリス

 少女は一人、部屋の窓から外を見つめていた。

 窓の外には雲ひとつない青空と、どこまでも続く広大な大自然が広がっている。

「ねえパパ、私もお外で遊びたいわ」

「すまないアリス。アリスの病気が治るまでそれはできないんだ」

「なら私の病気はいつ治るの?」

「分からない……。だが必ずお父さんがアリスを治してあげるからね。そしたら今まで遊べなかった分たくさんお外で遊ぼうね」

「うん!」

 アリスの純真な笑みに男もまた笑顔で返したものの、その心の内は深い悲しみに満たされていた。


「ねえパパ、私ご本を読んで欲しいの」

「そうだな。今日はどんな本を読もうか」

「あれが良いわ。お姫様と王子様のお話」

「アリスは本当にあの話が好きだね」

「ええ大好きよ! 苦難を乗り越えた二人が最後に結ばれる、そんなことが本当に起きたらどんなに素敵でしょう」

 アリスに急かされるままに男は本を手に取りベッドの端に腰掛けた。

 本のページを捲ると咳払いを一つして、ゆっくりと読み始めた。

「昔々あるところに、一人の少女がいました。少女の名はエアリスと言いました……」

 そんな二人の様子をモニター越しに一人の男が見つめていた。

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