古代魔術研究会
そこは、まだ昼間だというのに、全くと言って良いほど陽の光が差し込まない場所であった。
ノエルに案内されて向かった先は、学園の地下にある初めて足を踏み入れるエリアである。
【一般生徒立ち入り厳禁】
先程から気になって仕方がないのが、一定間隔おきに設置された表札であった。
随分と厳重に置かれているのだな。
一般生徒立ち入り禁止、の意図することは良く分からないが、少なくとも無許可で立ち入って良い場所ではない気がする。
「おい。本当にこっちで合っているのだろうな?」
「…………」
尋ねてみるが、返事はない。
代わりにノエルは小さく頭を縦に振ったようだった。
「ここ」
そう言ってノエルは唐突に廊下の真ん中で立ち止まる。
ふうむ。
これまた随分と古典的な仕掛けが施されているのだな。
どうやらこの先は隠し扉となっているようである。
「そこで待っていて」
前置きをしたノエルは、制服のポケットの中から光リ輝く石を取り出した。
よくよく眼を凝らしてみるとノエルの取り出した石には、ちょっとした細工が施してあるようだ。
ノエルは細い手を伸ばすと、傍にあった石像に鍵となる石をハメ込んでいく。
ガチャリッ!
次の瞬間。
石像に石がハメこまれるのと同じタイミングで、壁の奥からロックが解除される音がした。
俺のいた200年前の時代にも、この手の仕掛けは数多く存在していた。
この手のアイテムは『鍵石』と呼ばれ、一部の貴族、力を持った商人の間で重宝されていたものである。
「……ここがワタシの研究室」
隠し扉の中で俺を待ち受けたのは、数千冊にも上るだろう書物が収納された部屋であった。
中はというと、学生用の研究室というには大きすぎるが、図書室と呼ぶには少し物足りない。そんな雰囲気の場所であった。
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