番外編 戦争で得たモノ
チャイムが鳴る前に生徒は体育館へと移動を開始していた。今日は三年生への就職後の紹介と激励を兼ねて、この学校卒業の日本陸軍の人が来てくれたそうだ。
全校生徒が体育館へと集まるとものすごい数になる。全校生徒が3000人を越すマンモス高校だったからだ。そのため学校設備は次第に増加し、体育館も幾度となく工事を繰り返し巨大化。四国内でも最大規模の学校に変貌した。この体育館も名称は体育館のままではあるが、普段体育で使うのは第二の方でここは既に集会やこの様な場合のみでしか使われない言わば、単なる集会場である。
先生たちがプロジェクタなどの準備を進めるうちに、今日話をする日本陸軍の方が入ってきた。そこには自然と全校生徒の視線が集まる。
第二次世界大戦に日本は見事勝利を収めた。多くの人民の犠牲と功労は今なお後世に伝えられており一定以上の人気のある就職先となっている。特にこの地域は日本の最終防衛要塞として開発された。瀬戸内海に浮かぶ700余りの島ほぼ全てには対艦対空用の砲台や装備が設置され要塞化している。四国山脈は自然の要塞としてこの地を守り、自然からの被害も少なくしている。今では使われることはなくなり、観光地として人気となってはいるが、軍設備は近代化改修され、いつ何時でも稼働する様になっている。
陸軍は主に中国や対ソ連戦で活躍した。その中でもウラジオストク攻防戦では大戦果を挙げ名戦として有名だが、アメリカ本土上陸作戦ではアラスカの補給不足により良い戦果が上がらず、注目されていないのが現状だ。しかしあのアメリカに上陸した事にこそ意味があり。それによってアメリカ国民は反戦運動の機運が高まり、講和会議に持ち込むことができた。
今日来ていただいた陸軍はそれだけ重要なものなのだ。
準備も一通り終わり陸軍の方が壇上に上がる。
マイクを受け取り声出した。
「こんにちは」
生徒もこんにちは、と返す。
「ありがとうございます。私は日本陸軍上級大将の椅子翁です。本日はよろしくお願いします」
一斉に拍手が巻き上がる。そう以上の役職の人が登場し歓声が湧き上がる。さながら有名芸能人の登場ばりである。
日本軍の紹介とちょっとした冗談を話した後、公演は終了し軍の方は帰っていった。生徒は自分たちのクラスへと帰り、友人との会話に耽る。かくゆう俺も友人と先程のことについて話をする。
「いやー上級大将が来るとは思ってなかったわ」
「確かに、さすが上級大将雰囲気が段違いだったな」
「それにしても、上級大将がこの学校出身だったとはな」
「私は知ってたよ?」横から赤崎が会話に参加してきた。
「この学校は元々軍人育成用に建てられたものなんだけど、戦争が終わって一般用に変えたんだ。」
「へーそうなのか、よく知ってるな」
「そう?地元の人なら誰でも知ってると思うけど?」
なんというかさすが学校一の秀才並々ならぬ知識量だ。
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