第20話 彼らの選択
何かの姿が描かれたステンドグラスから日光が入り部屋を明るくし、そこに居るフードを被る十三人の顔も陰で見えなくしている。
その十三人の前には20代前後の若い男が跪いていた。
この場所はステンドグラスから入る日光からの明かりしかなく部屋は暗いと言える。七メートルもある天井は半円の形をしておりここが外から見ればドーム状の形であることが窺えるが。ここに来る時にその様な建物はなかったと記憶していた。
「で恐槍長双、転移者は本当に来ていたのか?」
低い老人の様な声が聞こえる。
声の主もフードを深く被り顔は見えない。
「はい、光の姫巫女によると王国に32人程転移したそうです」
その言葉を聞き、ざわつく。
ここタサラ帝国は、今王国とは、敵対しているため領土に入るだけで、警告なしに王国で必ず殺される。
国力増強を狙う我が帝国からしてみれば、面倒な相手だ。もしも、転移者を誘拐したとしてそれがバレれば。今は貿易摩擦や小規模な戦で終わっているが最悪全面戦争になりかけない。
その為、帝国は無闇に手を出すことが出来ない。相手はエウロペの覇権国家、たとえ地中海を支配している我々とて簡単に倒せる相手ではない。
「それと、少し変わったことが御座います」
「何だ?言ってみよ」
「はい、転移者の一人と
また、周りがざわつく。
「それは本当なのですかルラーク・イレク・ヴァイシェル?」
「はい 今レキアの大樹林に拠点を作った様です」
「その者たちはどうする?」
「それは好都合だろう。恐槍長双ルラーク・イレク・ヴァイシェルに命じます。使者を送り我が国の物とせよ」
「承知いたしました」
オスニングの森 北東
「ど、どうだった?」
声を出したのは毛の生えた体に、サイズが合っていない鉄の鎧を着た獣だ。
「さっき周辺を確認して少し経つと戻って行ったよ」
「よしそれじゃあ村に戻るか」
二匹の獣は鬱蒼と生える木で朝でも暗く道も荒れている、そんな道を走って帰っていく。
木々を抜けるとそこには、先の尖らせ、馬防柵に似た柵を丸太で作った強固な壁で囲まれた村があった。
家は木の柱と藁で作った様な家が三十件程建てられていた。
その一つに他よりも二回り大きな家に二人の獣が入って行く。
「あれの様子はどうじゃ?」
「うん さっき空を飛ぶ奴がいたけど、こっちには気づいてなかったよ」
突如現れた建築物にこの村の村長のウィオスムルは警戒していた。
きっとこの森に住む者はこの異変に気付いているだろう、この地を監視している、黒古龍様も例外ではない。
「オゥグスよ あれの近くには近づくなと皆に伝えておいておくれ」
ウィオスムルは深刻な表情でその場に居る息子に伝える。
「分かったよ、父さん」
村長の家からオゥグスは出て、村に居る者すべてに伝えた。
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