第18話 衝動的に

「ルターナ、そこで何をしているのかな?」

「あ ヒロトここに居たの?」


 先程までのヒロトの状況がイマイチ掴めていないルターナは、ヒロトを探してここまで来た様だ。

そしてルターナはヒロトに手を伸ばし───


「うっわぁ!」


 その瞬間、ヒロトの腹部に衝撃が走る。

 この攻撃らしきものには、ヒロトには痛みはなかった痛覚に異常もないが突然起きたため、咄嗟に衝撃を逃すために飛んだことによりそのまま後方にあるベッドに背中からダイブする。


 ベッドの上で仰向けの状態になっているヒロトの腹部に何かが伸し掛かる。


 鬼の様な文字通り鬼の俺からすると、軽いものだ。

 ヒロトは突然の事に驚き、状況を認識する為、閉じていた目を開けると、そこに居たのは・・・


「ルターナどうして俺のお腹の上に乗っているんだ?」


 何方かと言うとお腹と言うよりは、そのもう少し下の所だ。

 ヒロトは丁寧に言っているが、眉間にはしわが寄り、顔が引きつっていて少し怒っている様だ。


「・・少し用事をしに来ただけ」

「何で用事をしに来ただけで、俺を押し倒す必要がある?」

「・・・・・・・・・・・」

「そろそろどいてくれ、まだ仕事が残って・・・・」


 ヒロトは今自分の身に何が起きているかやっと理解した。


 先ず体を起こす為にヒロトは腕を動かそうとするが全く動かない。

 仕事をしない腕を見るが何時もの場所に健在だ。切断されている訳でもなく、感覚はしっかりあるしかし、腕だけではなく首から下の自由が効かない。


 そこでその理由は直ぐに分かった。

 そうこの部屋に入って来たミラだの仕業だ。

 きっとヒロトをこかすことが出来たのもミラの魔の力だろう。


 動けないヒロトにミラの魔の手が迫る。

 ミラはヒロトの服に手を伸ばし、服のボタンを外し始める。

「お、おいルターナ、何をしている⁈」

 ヒロトが言葉で止めようとするがボタンを次々と外していく。


「や、やめろっ!」


 ―このままでは、俺が女の子に襲われたなどと言う情けない過去が出来てしまう。

 なにか、何かないのか・・・・・・そ、そうだ!心の準備が出来ていない。とでも言っておけばもしくは逃げられる可能性も無きにしも非ず。

 ミラの白く小さな手が次はヒロトのベルトへと延びる。


「ちょっと待って暮れ、話を聞いてくれ!」


 話を聞く気になったのか、ベルトを外そうとする手が止まった。

 ルターナはヒロトの顔を見て聞く態勢だ、ヒロトにまたがったままだが。


「ルターナ、俺は未だその~あれだ、心の準備が出来てないから。だから少し待ってくれ」


 説得するヒロトの言葉を聞き、首を傾げて指を顎に当てて考える仕草だ。

 ヒロトはルターナの回答を息をのみながら待っていると、ルターナは答える。


「・・・分かった少し待つ。・・でも少しだけ・・・」


 ミラはそうヒロトに答えると、ルターナの顔がヒロトの顔に急接近してきた。

 ヒロトは動けないため交わすことが出来ず、ルターナの小さな唇がヒロトの唇と重なる。

 突如ミラの舌が口の中に入って来る。

 こうされては、ヒロトは抵抗もできずに、出来るだけ何も考えないようにした。


 妙にぴちゃぴちゃと生々しい音が部屋中に響くのが今のヒロトにでもわかった。ミラは置いて行かれた、仕返しでもしているかの様だった。

 まるでヒロトをおもちゃにしていたミラは少しキスをやめる。


「ハァ ハァハァ ひろと ハァ・・・・ッン」


 様やく終わったと思われたがミラはまだ足りないようでもう一度ヒロトを襲った

 それから数十秒、永遠に感じられた時が終わった。


 満足したのかルターナはヒロトの口から離すと銀色の糸を引いていた。

 もう放心状態のヒロトから離れ部屋にあるシャワー室へと向かい服を脱ぎ裸体になるとパネルを押して温湯を出し、体を洗う。



 その時を待っていたヒロトは通信系魔法で助けを呼ぶ。


「ヴィルジナルか?直ぐに俺の部屋に来てくれ!」


 なぜヒロトがヴィルジナルを呼んだかとゆうと特に深い理由はない。今は凪やアテナは怒っているだろうし、頼りになるのがヴィルジナルだったのだ。


「分かりましたが、理由を教えて頂けないでしょうか?」

「理由は後で話から急いで俺の部屋まで来てくれ。あと俺の部屋に入ったらまたメッセージを送ってくれ」

「はっ直ちに向かいます!」


 ここまで、忠誠を誓ってくれることに、感謝した。

その言葉だけ聞くとヒロトは魔術を解除しヴィルジナルが来るのを待つ。

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