第14話 Second Conquest Plan

拠点の術式で第九階層の会議室にデロギスと共に来た。そこにはまだアテナと凪しかいない。

 二人とも先程とは服装が違うので、言っていた大浴場にでも行っていたのだろう。


「やーお兄ちゃん 早速、聞きたい事があるのだけど、さっき私たちの所に来た女の人はだれ?」


 凪は顔を引きつらせて、アテナは怒った様子でコーヒー飲んでいた。ミラはとゆうと、お茶を飲み終わると何所かに行ってしまったらしい。


「それはですね~・・俺が作った第五階層の守護者のヴィルジナルです」


 ヒロトは冷や汗を掻きながら、いつもよりも丁寧に返答する。

 しかしまたしても、アテナは味方してくれそうに無い。

 凪に怒られていると、この部屋にある大きな扉が、配置したゴーレムによって開けられる。

 ここに入って来たのはブレニン、第四階層の主だ。

 ブレニンがこの部屋に入ると怒りが冷めたのか凪が怒るのをやめ、アテナと会話をし始める。

 心の中でブレニンに感謝する。

 そこへ黒騎士がヒロトに話しかける。


「我が君」


 ブレニンはヒロトの前で片膝をつき挨拶をした。


「あ、ああ来てもらってすまないな。それでは、適当な所に座ってくれ」


 ブレニンはヒロトと凪とアテナに一礼し、席に座る。ヒロトの隣に座ろうと思ったがそこには「ここに座るな byミラ」と書かれた紙が貼られていたため座れなかった。


 そして次にここへ来たのは、第三階層の主オーストだ、今のオーストは勿論人間の姿になっている。その姿は光が跳ね返る程の気鋭な水色の髪に超が付く美女だ。まるでアイスランドのヴァトナヨークトル氷河の氷のようなだ。

 そして、オーストも同じ様にヒロトに挨拶をして、椅子に座る。


 次に来たのが先程第一階層へと戻ったミラと各階層の主を呼びに行ったヴィルジナルが入って来る。

 ヴィルジナルは挨拶をした後、剣を配下の者に持たせ席に着く。

 ミラは、前と同じ様にヒロトの隣に座る。もう反対側に座っているのは凪、アテナの順で、その隣にデロギスが座っており。ミラの隣にはヴィルジナル、ブレニン、オーストの順に座った。

 まだいくつか空席が目立つが、そこには後からヒロトが増やすので、問題はない。

 全員が席に着くとヒロトが言い始める。


「よし 全員揃たな、それじゃあ他の者に言ってなかった事を話す」


 ヒロトは凪やアテナ、ミラに話した事を話していなかった者に言った。これは、今話しておかないと質問が増える場合がある為の対策だ。


「それと、俺はハンターをしようと思うが、それはどう思う?」

「それは少々危険かと、ヒロト様の力を奪おうとする者が出ないとも限りませんし、もしかすると、お話に出てきた巨人と同等かそれ以上の強い者が出てくる可能性もございます」とヴィルジナルが反対する


「そうだよ、お兄ちゃん お兄ちゃん強いのは知っているけど、昨日みたいなモンスターが沢山出たらどうするの?」

 凪も反対の意見を述べた。


 ヒロトの思っていた感想が帰って来たので、考えておいた事を言う。


「では、この中の一人だけ一緒に同行し護衛してほしい…」続けてこう言った「この件はオーストに頼みたい。良いか?」

「はい、お任せを」


最後に最も伝えておくべきことを述べた。


「私の目標は先ずこの世界の海を支配権に置き、更には全大陸を支配し、この世界線を征服するつもりでいる」


 一気に緊迫の同調が周囲を満たす。幾人かが喜色満面であるのは闘争に際し大量に分泌されるアドレナリンの影響か、この世界で遊戯する楽しみを待ち望んでいるのか。

 ここに居るものは誰も人間ではない。アドレナリンが出ているのかわからない。我々は人間に化けているのではなく、人間に模した者に似せているのだ決して人にはなれない。

 言葉は不要であり、この場に居る全てのものから同意の眼を受けた。


 合衆国アメリカが世界の超大国として君臨していた、しかし、第二次世界大戦での大敗後、ブラックマンデーを境に国内がメチャクチャになった。資本主義の最大の欠点がここで露呈したのである。日本も大きな被害を出したが、急速な対応でこれを解決。それどころか、多くの国の援助へと海を使い行った。このことと、第二次世界大戦で勝利した海軍力が決定打となり、日本はシーパワーを確立した。

 日本を超大国足らしめているのは海の支配である。核だけであれば日本を含めた四大国やパキスタン、トルコ、ポリネシア、オーストララシアも保有している。

 つまり他国は全ては、度合いの違いはあれど、日本に銃口を突きつけられている状況なのだ。

 ドイツ軍は精鋭であり、数的劣勢を覆すほどの戦闘において成果を上げたがイギリスの海上封鎖による食料と資源不足は、ドイツ国内の現状を極めて悪化させた。

 市民の餓死者は優に五十万人を超えたとも言われ、革命により帝政は最後を迎えた。

 現代の主要国は、貿易により成り立っており、海路を断たれると、ほとんどの国は滅亡の危機に立つ。

 これがシーパワーと言う。

 海を経済的に軍事的に活用する能力まで含む、包括的なものである。

 アメリカがハワイやフィリピンを併合し太平洋に多くの拠点を持ったのも、太平洋戦争の勃発も、シーパワーを説いたマハンの影響が大きいとされる。


「それと並行して、この世界からの脱出を探しておく」それとと付け加えて「これから、誰か目の良い者にこの基地の、周辺地理を調べてもらってくれ。最後に何か聞きたい事はないか?」


 誰も何も言わないので、何もない様だ。


「それでは、俺は未だやることがあるから、何かあったらメッセージを飛ばしてくれ」

メッセージとは遠く離れた相手と会話するための魔術である。科学技術が発達した現代では既に廃れ、ごく限られた環境下でしか今は行使されなくなってしまった魔術の一つだ。その環境下が今の現状という訳だ。


 それを言い終わるとヒロトは、基地の効果で、何所かに行った。

 そこでアテナが皆に告げた。


「ではこれからの事の分担をしてもらいます」

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