第164話 一段落とご奉仕指導(後編)
「今日は諸々の詫びも兼ねて……ご奉仕させてもらいに参りました」
手錠の嵌められた手でワンピースをたくし上げながらそう言った熊獣人シグマさんに、僕は「え、え!?」と赤面しながら目を白黒させた。
「ちょっ、ご奉仕ってどういう……!?」
「……っ、ただでさえ恥ずかしいっつーのに、全部言わせんなよな……っ」
戸惑う僕に、シグマさんは顔を真っ赤にしながら僕を睨み付ける。
そして「ご奉仕」とはどういうことか早口で話はじめた。
「だから、詫びだよ詫び。いくらあのクソ魔剣に操られてたつっても、そりゃオレが弱かったせいだ。弱かったせいでとんでもねえことをしでかしっちまった。だからこの国にはしっかりケジメつけて詫び入れるつもりではあるんだが……手始めのオレを止めてくれたお前に、その、エロいご奉仕してやるっつってんだよ! このオレが!」
ガルルルルッと唸り声さえあげながらシグマさんがまくし立てる。
いやエッチなご奉仕ってなに!?
いやわかるけども! わかるからこそなに言ってるんですか!?
「聞けば、お前のふざけた〈ギフト〉はその、エ、エロいことすりゃどんどん成長するっつー女の敵みてえな性能なんだろ? それもオレみてえに強い女を相手にすりゃ効果も高い。だったら教会のクソどもからこの国を守るためにも、オレが身体を差し出すのは当然だろうが」
シグマさんは僕の〈ギフト〉をナチュラルに罵倒しながらさらに言葉を続ける。
「まあ、お前には一度この身体を無茶苦茶にされてるから今更かもしれねえけど……あれはオレをあの黒い霧から救うためだったわけだしな。お前だって、その……交尾を楽しんでたわけじゃねえんだろ? だったら今度はオレのほうからご奉仕しねえと筋が通らねえ」
シグマさんは顔を真っ赤にして僕から顔を逸らしたまま、けれど決意のこもった声で断言した。それは本当に真摯な申し出で。きっとシグマさんの気持ちを整理するにも必要な行為なのだろうと思えた。だから、
「わ、わかりました」
と僕がおずおずと頷いた途端、
「……それじゃあ早速……」
アリシアがどこかウキウキしながら僕をベッドに座らせ、その足下にシグマさんを誘う。え、ちょ、なにするの? と思っていれば、
「……ご奉仕といえば、基本はこれ」
「うひぇっ!?」
アリシアが僕のズボンを一瞬で脱がせ、シグマさんが小さく悲鳴をあげる。ちょっ、急すぎない!? と僕が戸惑っていると、シグマさんは気を取り直すように、
「は、はーん。ソレな。ま、まあそうだな。基本だよな。じゃ、じゃあ……とっととヤっちまうぞ……!」
言って、シグマさんが覚悟を決めるようにご奉仕を開始した――次の瞬間。
ガリッ。
「わああああああああああああああああっ!?」
僕は叫んだ。
全力で叫んだ。
多分これまでの戦闘時であげた悲鳴を含め、一番大きな声だった。
なぜなら……シグマさんが僕の敏感な素肌(意味深)に思い切り歯を立てていたのだ。
「……エリオ……っ! 大丈夫……!?」
「だ、大丈夫大丈夫。再生スキルですぐに回復したから……」
めちゃくちゃ心配してくれるアリシアに僕はどうにか平静を取り戻して答える。
「え、う、うわっ、す、すまん!」
と、僕の大げさな悲鳴にシグマさんがオロオロと謝罪し、僕はすぐに「だ、大丈夫ですよこのくらい」と声をかけるのだけど……。
「……ごめんじゃ済まない」
アリシアが低い声でぼそりと呟いた。
「……エリオが特別な回復スキルをもってたからよかったけど……これじゃご奉仕なんて無理……」
「う、ぐ……だ、だってこんなこと、実はやったことねえし……」
「……これは教育が必要……」
なんだかやけに迫力のあるアリシアに気圧されたようなシグマさん。
そしてアリシアは「……まずエリオの前での座り方……足を開きながらしゃがむ形で……」と、シグマさんに
続けてアリシアは自分の白くて滑らかな指をシグマさんに差し出して、
「……舐めて……」
「え?」
「……まずは私の指で……ご奉仕の練習」
「ちょ、アリシア!? なにもそこまで――」
「い、いや……止めなくていい」
「シグマさん!?」
「これはオレからやるっつったんだ。なのに恩人の急所を傷つけましたで終わっちゃ締まらねえ。……いやまあ、あの魔剣をぶっ壊してくれたっつーアリシア嬢に手間かけさせちまってる時点でアレなんだが……とにかく! ここまできてやめられるか……!」
そうして。
なんだかよくわからない流れでアリシアのご奉仕指導がはじまった。
それからしばらくすると、
「……うん。さすがは〈牙王連邦〉最強格の戦士……飲み込みも早い……けど……まだ固い……もっとドロドロにならないとダメ……。……エリオ」
「え?」
「……シグマさんのこと、撫で撫でしてあげて……」
「え!?」
「むぐっ!?」
ご奉仕指導をしていたアリシアの言葉に僕とシグマさんが思わず声を漏らす。そんな僕の耳元でアリシアが囁いた。
「……どうせこのまま最後までしちゃうんだし……準備しておくのは大事……それに、ただご奉仕させるだけだとエリオも申し訳ないでしょ? ……だったらエリオからもしてあげたほうが……お互い負い目がなくて良い……」
「そ、そうかな……?」
アリシアの言葉は正直どうなんだろうとは思う。
けど……薄闇の中、アリシアの指導を見てなんだかもじもじとしているソフィアさんやイリーナさんから滲み出る甘い香りに僕の頭はぼーっとしていて、
「え、えと、じゃあその、失礼します……」
僕はアリシアに言われるがまま、シグマさんの敏感な部分(耳とかね!)を優しく撫でていた。
「――っ❤」
そうしてとろとろになったシグマさんに、アリシアが小さく微笑みながら囁く。
「……それじゃあ、本当のご奉仕をしていいですよ……」
「え……わあああああああああああっ!?」
瞬間、僕はまた悲鳴を上げていた。
けどそれは痛みや恐怖からじゃない。
シグマさんのご奉仕があまりにレベルアップしていたからだ。
その熱々のご奉仕に僕は思わず身をよじって逃げようとするのだけど……シグマさんは両手が使えない状態でにもかかわらず僕を逃がさない。
こ、このままじゃまずい!
「~~~っ❤!」
と僕はスキルを使用。
男根スキルによってどうにかシグマさんの動きを止めるのだけど……それは完全な失敗だった。
「……じゃあ次は私の番……❤」
「ア、 アリシア!?」
「……こんな匂いを嗅がされて……我慢できるわけないです……っ❤」
「ソフィアさん!?」
「そ、
「ちょっ、イリーナさんまで!? その怪力で押し倒すのは反則――むぐっ!?」
3人同時。
さらには途中で復活したシグマさんもあわせ、僕は4人の女の子から貪り尽くされるのだった。
エリオ・スカーレット 14歳 ヒューマン 〈淫魔〉レベル340(前回から10up)
所持スキル
絶倫Lv60(前回から15up)
主従契約(Lvなし)
男根形状変化Lv30(前回から5up)
男根形質変化Lv30(前回から5up)
男根分離Lv15(前回から2up)
異性特効(Lvなし)
男根再生Lv15(前回から5up)
適正男根自動変化(Lvなし)
現地妻(Lvなし)
ヤリ部屋生成Lv15
精神支配完全無効(Lvなし)
自動変身(Lvなし)
眷属生成(Lvなし。威力は本人のレベル依存)
射精砲Lv15(限界突破。前回から7up)
男根振動Lv5(前回から4up)
アリシア・ブルーアイズ 14歳 ヒューマン 〈神聖騎士〉レベル140(前回から10up)
所持スキル
身体能力強化【極大】Lv30(前回から10up)
剣戟強化【大】Lv25(前回から10up)
周辺探知Lv23(前回から10up)
ケアヒールLv20(前回から10up)
神聖堅守Lv23(前回から10up)
自動回復付与Lv20(前回から10up)
神聖浄化Lv15(限界突破。前回から10up)
魔神斬りLv10
シン・魔神斬りLv1
*
エリオが4人の女性から貪り尽くされていたころ。
「どうなってる!?」
ロマリア神聖法国大聖堂の地下深く。
薄闇のなかで激昂する女の声が響いた。
見目麗しい女性神官――黒い霧を用いて狼人ソフィアを操っていた女だ――が火照る身体の疼きを吹き飛ばすような形相で声を荒げている。
「〈牙王連邦〉に放っておいた鏖殺剣の反応が消えただと!? バカな、あり得ん!」
どかぁ! 分厚い木製の机を叩き壊しながら女神官が吠える。
熊獣人シグマを操っていた凶悪な魔剣。
それは念話や遠視で周囲の状況を知らせるような性質を有してはいなかったが、一部の者はその特異な気配を遥か遠方から察知することが可能だった。
現にこの女神官も神聖法国の中央にいながらその魔剣の気配を常に感じていたのだ。
だが――それがおよそ二日前、突如として途切れた。
「あり得ん……! あの鏖魔剣は至高の魔剣。持ち主が死んだ際に封印されるようなことはあっても、破壊など決してできない一振りだ。それを破壊できる者など――」
この世にただ1人。
覚醒した〈神聖騎士〉以外にあり得ない。
だが、本来ならそれもあり得ない話だった。
なぜなら〈神聖騎士〉アリシア・ブルーアイズはいま、十三聖剣の一角、コッコロ・アナルスキーが目撃情報を追っているはずなのだ。
それによればアリシアは〈牙王連邦〉とは正反対の地域に逃げ延びているとのことで、ダンジョン都市から〈牙王連邦〉の間にある教会支配地域でもアリシアらしき者の目撃情報がないことからもその情報は正しいはずだった。
だが――現に鏖魔剣は破壊され、信じがたいことに〈牙王連邦〉の首都上空に現れた古龍がほとんど被害0で討伐されたという話まである。ただ討伐しただけならまだしも、あの大質量の古龍が首都直上に現れて被害ゼロなどほとんどホラ話の類いだ。
だがどちらの出来事もれっきとした事実。
〈牙王連邦〉になんらかの異常戦力が現れたのはほぼ間違いなかった。
「コッコロめ、影武者の情報でも掴まされたか!? それともまさか……」
いやだが、あの血に飢えた異常者に限ってそんなことがあり得るのか。
誰にもなびかず己の欲望を優先し、洗脳系スキルの一切を無効化する〈
「……
そうだ。まだ取り乱すような段階ではない。
たとえ〈神聖騎士〉が覚醒しようと、〈牙王連邦〉に潜伏していようと、それを始末するだけの準備は進めてきたのだから。
疑念はひとつずつ晴らし、障害は取り除き、まだいくつもある策を並行して進めていこう。
この世界を混沌へと陥れるための策はいくらでもある。
そうして自分に言い聞かせるようにして冷静さを取り戻した女神官はいつまでも解消されない身体の火照りを処理してさらに冷静となり……さらに深い闇の奥へと歩いていった。
―――――――――――――――――――――――――――――
しゃぶっているのは主に指なのでセーフ!(ではなかったっぽいので、2022.10.1日付けで表現を大幅に削りました、わかりにくくてすみません!)
※近況報告のほうでめっちゃ可愛いシスタークレアの設定画を公開しておりますので、是非ご覧ください。
※追記
これにて淫魔追放第3章「淫魔結合」は一段落。
次回からは第4章「淫魔勃興」へと入ります。
次回更新は来週18日になりますので、よろしくお願いいたします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます