第41話 女王姦落
ずっと考えていたことがある。
精神支配に強い耐性があるはずの〈神聖騎士〉アリシアを隷属させてしまうほど強力な、僕の〈主従契約〉スキルについてだ。
いくら強力なテイムスキルだろうと、なんの条件もなく主従契約が結べるはずがない。
ましてや伝説級の〈ギフト〉である〈神聖騎士〉の精神支配耐性を貫通するようなテイムスキルなら、相応の発動条件があるはずなのだ。
それこそ、対象者と「仲良く」しなければ主従契約は結べない、といった無理難題にも等しい条件が。
そしてアリシアと主従契約が結ばれてしまったあの日、僕がアリシアとヤったことといえば――考えられる可能性はひとつしかなかった。
確証はない。
けれど〈淫魔〉スキルの発動条件としてこれ以上ふさわしいものなく、それ以外に心当たりはない。
ならばもう、試してみるしかなかった。魔族との「仲良し」を。
「人里を蹂躙せよ」と命令を受けた万単位のアーマーアントたちを止めるには、命令スキルを持つアリの女王、レジーナを隷属させるしかないのだから。
だから、
「アリの暴走を止めるために、僕はいまから……あの魔族を犯す!」
「……わかった。後続の冒険者が他の通路を使ってこの部屋にこないよう……アーマーアントの邪魔が入らないよう……私が周りを見張っておく」
僕の意思を受けて、アリシアが〈神聖堅守〉で〈大空の向日葵〉メンバーを守ったまま周囲の通路を潰しはじめる。
「は……? ちょっ、なにを言って……!? 犯す……!? 人間を守るために!? トチ狂ったか!?」
魔族の少女――レジーナが頭のおかしいヤツを見る目で僕を見る。
いやまあ、言いたいことはわかる。
僕だって自分の選択にドン引きである。
「僕だって、こんなこと死んだってヤりたくないんだ……。〈絶倫〉スキルがなかったら、こんな状況で臨戦態勢にすることだって無理だよ。……けど、けどみんなを助けるためにはもう――これしか手がないんだあああああああ!」
「ちょっ、まっ、妾は無性生殖しか経験が……ア―――ッ!?」
〈適正男根自動変化〉によって人外のソレに形を変えたアソコ。その根元から触手のように枝分かれしたアレがレジーナを拘束し――やがて周囲にくぐもった嬌声が響きはじめた。
*
(な、なんなんだこの人間は!?)
女王は混乱の極地にあった。
配下のアリたちを暴走させることで最悪の窮地に追いやったと思っていた人間が、いきなり自分を犯すと宣言したのである。
しかも「みんなを守るため」ときたもんだ。頭がおかしいとしか思えない。
(ハッ、それともまさか、快楽で妾を籠絡しようというのか!? 愚かな人間らしい浅ましい考えだ! たかが人間の分際で、幾百の子を育んできた妾を満足させられるわけが――)
「ひゃああああああああああああああっ❤❤❤!?」
それは完全に未知の快感だった。
気を強く保とうと身構えていたレジーナの脳内が一瞬で真っ白になる。
だがレジーナを圧倒しているのは、その凄まじい快感だけではなかった。
「アリを自滅させろ、アリを自滅させろ! くっ、もう何度も仲良しの頂点に達してるはずなのに、主従契約が結ばれない……! 「仲良し」以外に別の条件があるのか!?」
「……エリオ。あの夜は私だけじゃなくて、エリオもたくさん、仲良しを極めてた。だからきっと、エリオも気持ち良くなる必要がある……」
「ちょっ、アリシア!? 君は見張りを……うむっ!?」
それはレジーナの意思など完全に無視して行われる快楽の宴だった。
身体の内側から問答無用で支配される感覚。
女王であるレジーナが一生味わうはずのなかったその感覚が彼女の脳を滅茶苦茶にする。
自我に目覚めてからこの方、レジーナはずっと女王だった。
アリたちに命じ、上に立つ者として振る舞うのが当たり前の日々。
そんなレジーナにとって、自分よりも遙かに強い力で押さえつけられながら行われる仲良しは、あまりに刺激が強すぎた。
それは、自分よりも強い雄に従属する喜び。
女王として暮らしていたなら、一生知るはずのなかった強烈な甘露。
実は発生してから1年も経っていないレジーナにとって、その強すぎる刺激はとてもではないが抗えるものではなく――
「っ!? 出た、主従契約の証……! いまなら――」
なにがなんだかわからない。
主従契約を結ばされた?
魔族の自分が?
あり得ない。
だが、
「すべてのアーマーアントを、自滅させるんだ!」
エリオが改めて強く命じた瞬間、レジーナの意思を無視して命令スキルが発動。
各地に放ったアーマーアントたちが一斉に水辺を目指しはじめるのを感じ取り、レジーナは身体を震わせる。
すべてを蹂躙された。身体も心も。人族に一矢報いるという矜恃さえ粉々に。
そうして自らのすべてを完全に支配される心地よさに――レジーナは完全に墜ちた。
「はひいいいいいっ!❤ 主様のご命令とあらばあああっ!❤」
最早〈主従契約〉スキルとは関係なく、レジーナは従属の悦びに声を張り上げていた。
*
「……お、おい。これは一体どういうことだい?」
〈大空の向日葵〉たちが目を覚ましたのは、ちょうどエリオたちの「戦い」が終わったあとのことだった。
まだまともに立てないが、かろうじて身体を起こすことはできる。
そんな彼女たちの目に飛び込んできたのは、あまりに信じがたい光景だった。
「あ、あああっ、主様❤ 主様❤ どうかその手で、いつでも都合の良いときに妾をゴミクズのように殺してくださいまし……❤ それまでは、それまではどうかおそばに……❤」
自分たちを瞬殺した魔族の少女が、なんだかヤバい目をしてエリオール少年にすがりついているのである。しかも下腹部には先ほどまでは絶対になかったテイム契約らしき紋様まで浮かんでいる。
あり得ない……魔族をテイムするなど、おとぎ話でもあるまいし……とミリアムたちは自分の目を疑うのだが、
『お、おいそっちはどうなってる!? 今度はアーマーアントたちが一斉に入水自殺しだしたんだが……クイーンになにが起きてる!?』
水晶から聞こえてくるギルマス、ゴードの言葉に、ミリアムたちはもう目の前の現実を受け入れるしかなかった。
「エ、エリオール君……まさか、魔族をテイムしたのかい? 一体どうやって……」
すると魔族の少女の有様に誰よりも困惑しているらしいエリオール少年は「え、ええと、その」と盛大に目を泳がせたあと、
「セ、セットクしたらわかってくれたというか……」
「え? セッ●ス?」
「ち、違いますよ! 説得です、説得!」
エリオール少年が顔を真っ赤にして反論する。
いやどう考えても発音がセ●クスだったが……とは思いつつ、
「ひとまずは……一件落着ということでいいのかな……?」
ミリアムたちはこれ以上は考えても仕方ないとばかりに、アーマーアントが一匹もいなくなった巣穴の奥底で倒れ込むのだった。
エリオ・スカーレット 14歳 ヒューマン 〈淫魔〉レベル200
所持スキル
絶倫Lv10
主従契約(Lvなし)
男根形状変化Lv10
男根形質変化Lv10
男根分離Lv8
異性特効(Lvなし)
男根再生Lv8
適正男根自動変化(Lvなし)
現地妻(Lvなし)
????
????
????
―――――――――――――――――――――――――――――
※2021/10/15 表現を修正しました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます