第11話 今日も淫らな夜の女王

 アリシアと宿に戻って食事を終える頃には、もうすっかり日が暮れようとしていた。

 部屋に戻ってベッドに腰掛けるといろいろあった一日を振り返りながら眠ってしまいそうになるけど、その前に試しておかないといけないことがある。


「……これ、ちゃんと戻るよね?」

 

 僕の股間から分離した男根だ。

 ずっとドタバタしててずっと懐にいれたままだったアソコを取り出し、つるつるになっていたアソコにそっとあてがう。


 ピタッ……。


 と、僕の男根は無事に股間と再結合。

 感覚もちゃんと繋がって、問題なく男性機能を果たしてくれるようだった。


「よ、よかった……」


 無事にアソコが戻ってきて僕はほっと胸をなで下ろす。

 と、そのときだった。


「……エリオ。エッチ、しよ」


「え!?」


 突如。

 それまでいつも以上に口数の少なかったアリシアがなんの脈絡もなく僕をベッドに押し倒してきた。


「……もう夕暮れだし、本当にエリオのお馬さんがちゃんとくっついたか、試さないとだし」


 アリシアがそう言って僕の服を脱がしにかかる。

 それはいつもの光景だったのだけど……アリシアの様子がいつもと少し違っていて僕は戸惑う。


 なんというか……一言でいうといつもよりアリシアのケダモノ度が高い。

 息は荒くて熱っぽいし、馬乗りになって僕を押さえつける動作が乱暴だし、こちらを見つめる瞳には情念にも似た熱が宿っているように見えた。

 どうしたんだろうと疑問に思っていると、アリシアが口を開く。


「……エリオは、とっても魅力的な男の子だから。側室が何人いてもいいと思う。……ううん、いたほうがいい。今日の戦いで改めてわかったけど、きっとエリオはこの先すごいことをする人。跡継ぎは沢山作らなきゃ、ダメ」


 ??? 

 い、一体なんの話だ?

 いよいよ僕が混乱を極めていたところ、アリシアはその一言を口にした。


「……でも、エリオ。私、ワガママだから。エリオが側室を何人作っても、私は、私がエリオの一番じゃなきゃ、や」


 そこで僕はようやくアリシアの真意を理解する。

 ちょっと自惚れた考えかもしれないけど、多分間違いじゃない。


「もしかしてアリシア……ソーニャに嫉妬してる……?」


「……」

 

 今日助けた少女、快活な街娘という印象がぴったりな彼女の名前を僕が口にすると――

 ぷい。

 アリシアが拗ねたように僕から顔を逸らす。

 う、うわぁ、可愛い……。


 僕はそんなアリシアを見て、思わず「ぷっ」と噴き出してしまった。


「……なんで笑ってるの」


「あ、ごめんごめん!」


 と、いつも無表情なアリシアが珍しく眉を逆立てたので即座に謝る。

 そして僕は噴き出した理由を語った。


「アリシアは心配性だなと思って。だって僕がアリシア以外の女の子とどうこうなるわけないでしょ?」


「……え?」


「改めて言うのは気恥ずかしいけど……僕は昔から、その、君のことが気になってたし……それになにより、〈淫魔〉なんて〈ギフト〉を授かって追放された僕なんかのために家を捨ててついてきてくれた子が一番じゃなきゃなんだっていうのさ。心配しなくても、アリシアがずっと僕の一番だよ。父さんは国防のためにも跡継ぎは沢山必要ってことで奥さんが何人かいたけど、僕にはアリシアがいてくれれば十分すぎる」


 そういえば、こうしてアリシアに自分の気持ちを真っ直ぐ伝えたのは初めてかもしれない。アリシアに貪られている最中に「好き」と連呼した(させられた?)ことはもう数え切れないほどだけど……。


 と、そうして僕がアリシアに本音を語ったところ、


「……っ。やっぱり心配」


「うむっ!?」


 アリシアがその柔らかい唇を重ねてきた。

 そして激しく僕の唇をついばみながら、


「……君みたいな人、絶対に他の子がほおっておかない。いまのうちに、独り占めしておかなきゃ」


 言って、アリシアはいつも以上の激しさで僕を求めてきたのだけど……そこで僕は違和感に気づく。いつも以上に激しいというか……激しすぎる!?


「ちょっ、アリシア!? なにこれ!? 腰の動きがなんでこんなに激し――うわっ!?」


「……アーマーアントの群れを倒して、レベルが一気に上がったみたい。体力も倍増。つまり」


 いつもの無表情からは想像もつかない妖艶な色を浮かべ、アリシアが呟いた。


「……今夜は寝かさない」


「アーーーーーーーーーッ!?」



 エリオ・スカーレット 14歳 ヒューマン 〈淫魔〉レベル75

 所持スキル

 絶倫Lv7

 主従契約(Lvなし)

 男根形状変化Lv6

 男根形質変化Lv6

 男根分離Lv3

 異性特効(Lvなし)

 男根再生Lv2

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