第5話 さらなる急成長
「……朝……いやこれ、もうお昼……?」
目が覚めると、既にお日様が空のてっぺんにあるような時間だった。
「それにしても昨日は……………………………色々あったなぁ」
寝ぼけた頭が覚醒するにつれて色々と思い出す。
帝都を追い出されたこと。
最低最悪の〈ギフト〉である〈淫魔〉が謎の成長性を見せたこと。
人食いボアの群れに襲われたこと。
それから……、
「……っ」
思い出すだけで顔から火が出そうになる。
「アリシア、激しすぎだよ……」
いつもクールなアリシアがあんなにも情熱的に僕を求めてくるなんて……。
正直なところ凄く嬉しい。
そうしてアリシアへの気持ちが膨れ上がるほど、やっぱり彼女みたいな人が僕なんかと一緒にいちゃいけないんじゃないかと思えてしまうけど……。
あれだけ情熱的なアリシアの気持ちを知ってしまったら、もう帝都に帰れなんて言えなかった。
〈淫魔〉なんて〈ギフト〉でどこまで彼女の気持ちを守れるか、わからないけれど。
「って、そういえばアリシアは……?」
と、僕が乱れたベッドの上にアリシアの姿がないことを不思議に思っていたところ、
「……あ、起きた?」
「っ!?」
備え付けられたシャワーを浴びていたのだろう。
タオル一枚だけで身体を隠したアリシアが微笑みながら部屋に戻ってきた。
その色っぽい姿に昨日の情景がさらにくっきりと思い起こされ、僕はその場で固まってしまう。
と同時に、下半身にもまた熱が溜まっていく。
(っ! 昨日あれだけ搾り取られたのに……! 絶倫スキルのせい……!?)
恥ずかしいスキルの効果に赤面して縮こまる。
「……あ」
けどそうやって隠そうとしたのがよくなかった。
僕の異変に気づいたアリシアはまた昨日みたいに熱っぽい表情を浮かべ、
「嬉しい……エリオ、また続きをしてくれるんだね……」
「いやちがっ」
否定は無意味だった。
アリシアは凄まじい速さで僕に肉薄すると、また僕をベッドに押し倒す。
「ちょっ、アリシア! もうお昼だから! 廊下に人の気配もあるから!」
「どうして抵抗するの……? エリオだって昨日、たくさん好きって言ってくれたのに……」
「い、いやそうだけど……っ」
僕はまた盛大に赤面する。
確かに昨晩、アリシアに全身をドロドロに溶かされたとき、圧倒的な快感に朦朧としながらそんなことを連呼した記憶はある。
それは本音だ。
けどほら、節度ってあると思うんだ。
「お昼は移動に使いたいし、一日中そういうことしてるわけにはいかなんだから、ひとまず下の食堂でご飯でも――」
「……そういう難しいことは、お互いすっきりしてから考えよ……? 早く子供が欲しいし……昨日みたいに、私がエリオを素直にしてあげる」
しかし僕の説得もむなしく、アリシアが僕の下半身に手を伸ばす!
「いやいやいや! だからこういうのはよくないってば!」
僕は無駄とわかっていながらアリシアに抵抗しようとする。
けど僕の抵抗なんて〈神聖騎士〉からすれば可愛らしいもので、むしろアリシアの興奮を煽るだけになってしまう。
……はずだったんだけど。
「……? ……え?」
僕に手を掴まれたアリシアが目を丸くする。
続けて僕も首をひねった。
あれ? アリシアが止まってる?
「アリシア……? やっとわかってくれた……?」
「……いや、私は俄然、君を犯すつもり」
と、アリシアが引き続き真剣な表情でまた僕に迫ってきた!
けれど……
「……!」
アリシアは多分、全力で僕の服を脱がそうとしている。
けど無駄だった。
僕に手を掴まれたアリシアはそれ以上先へと進めなかったのだ。
ぴくりとも動かない、なんて圧倒的な差じゃない。
けれど確実に、僕は自分の力でアリシアの暴走を食い止められていた。
「「おかしい……」」
僕とアリシアの声が重なる。
そして僕ははっとして自分のステータスプレートを見た。
エリオ・スカーレット 14歳 ヒューマン 〈淫魔〉レベル50
所持スキル
絶倫Lv5
主従契約(Lvなし)
男根形状変化Lv1
男根形質変化Lv1
男根分離Lv1
異性特効(Lvなし)
「……っ!?」
言葉を失った。
は? レベル50?
それになんだこの頭のおかしいスキル。
聞いたこともなければ聞きたくもなかったようなスキルがいくつも出ていて、僕は頭が沸騰しそうになる。
けどもしかすると、なにもおかしなことではないのかもしれない。
昨日は自分を慰めるだけでレベルが上がってたんだ。
アリシアみたいなとんでもない美少女と何度も「仲良く」したなら、これだけ成長するのも当然といえた。
……いややっぱり頭おかしいよこの〈ギフト〉。本当になんなの……。
と、僕が茫然自失としていると、
「……エリオすごい。どうしてこんなに成長してるの……?」
「っ!?」
アリシアが僕の生き恥ステータスプレートを覗き込んでいることに気づいて僕は肩を跳ね上げた。
「わああああっ!? ダメだよアリシア! 見ないで!」
ステータスプレートは通常、自分だけに見えるか他の人にも見えるかの状態を選ぶことができる。だけどこのとき僕は混乱してアリシアにも見えるようにしてしまっていたのだ。
ステータスプレートの内容を知られることは命にも関わるため、元々他人に見せるのには抵抗があるものだ。
加えて僕の場合は顔から火が出るような内容ということもあり、僕は全力でアリシアに叫んでいた。
と、そのときだ。
キュイイイイイイイイイイイイッ!
「「え?」」
再び僕とアリシアの声が重なった。
タオル一枚だったアリシアの下腹部から、いきなり強烈な光が溢れたのだ。
かと思えばその光はすぐにおさまり……その変化が僕とアリシアの目に入った。
タオルのずれた位置からのぞく、アリシアの下腹部。
おへそからおへその下にかけての辺り。
そこにはテイムされたモンスターの体表に浮かび上がるものとよく似た、けれどどこか卑猥な紋様がくっきりと刻まれていた。
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